第13話

戦慄の出来事。⑶
480
2018/02/02 12:31
数時間後、私はパトカーのサイレンで目を覚ました。

なんだろう…。

窓から辺りを見渡すと、家の前に、パトカーと救急車が停まっていた。急いで玄関先に出ると、そこには、翔君が救急車に乗せられている姿があった。
あなた

翔君!翔君っ!

私は必死で叫んだが、警察官に引き留められてしまった。翔君の家の方を見ると、警察官が出入りしているのが見えた。そう、パトカーは、私の家ではなく、翔君の家に停まっていたのだ。

誰が翔君にあんなことを…
絶対、許さない。

そう思っていると、中から、犯人らしき人物が出てくるのが見えた。それは…沙也加だった。
あなた

沙也加!?

沙也加
あなた…
私の声に沙也加は気づいたようだったが、その顔は意気消沈とし、無表情としか言いようがなかった。
あなた

沙也加、なんで翔君にあんなことしたの!?
答えてよ!沙也加っ!

周りの野次馬を押し退けながら、私は沙也加に向かって絶叫した。しかし、沙也加は答えることなく、パトカーに乗り込んでしまった。
警察官
君は、あの子のことを知っているのかい?
被害者のことも知っているようだけど…少し、話を聞かせてくれないかな。
あなた

はい…。

私は、生まれて初めて事情聴取というものを受けた。何を聞かれたかは覚えていない。ただただ淡々と、質問に答えるしかなかった。

その後、私は家へ戻った。そこには、お母さんがいた。どうやら、警察から事情を聞いているようだった。
お母さん
ご飯、いる?
お母さんは、ただそれだけ聞いてくれた。
あなた

ごめん、いらない。

どうしても食事をする気には慣れず、私は部屋で座り込むしかなかった。翔君のことも心配だったけれど、それと同時に沙也加のことも気になっていた。あの時、私があそこに留まっていたら、こんなことにはならなかったのかなー、そんな想いが巡り、私は一睡もすることが出来なかった。

翌朝も、お母さんは食事を準備していてくれたが、やはり、食べられなかった。
お母さん
今日は、学校休んでも、いいよ…?
あなた

ううん、大丈夫。
行ってきます。

私は重い足取りで学校に行った。
教室に入ると、皆がザワついていた。
バレンタインだからかと思ったが、チョコを交換している様子はほとんど見られなかった。
すると、栞が話しかけてきた。
あなたっ!翔のこと…もう、聞いた?
あなた

うん。昨日、救急車で運ばれてるの、見たから…。

栞は私の反応と姿を見て、状況を悟ったらしく、私をそっとしておいてくれた。保健室に行くか聞かれたが、断った。

翔君…

切実に翔君の無事を祈っていると、先生が教室に入ってきた。先生は、教壇にのぼると、ひと呼吸おいてから、こう告げた。
先生
皆さんに、大事なお話があります。
今朝、柊君が、亡くなりました。
その言葉を聞いた瞬間、私の目の前が真っ暗になった。

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