第7話

好きの時間。⑴
552
2018/01/27 05:30
夏休みもあっという間に終わり、始業式の日になった。周りからは愚痴や不満がこぼれているが、私は違った。

これから、毎日沙也加や、栞に会える。

多くの人にとっては代わり映えのない日常でも、私にとっては幸せのような日々だった。
沙也加
久しぶりだねーあなた!
あなた

久しぶり。栞は?

沙也加
それがさー、あの子、なんかおたふく風邪になっちゃったらしくて。それで、一週間くらい、学校来られないんだってー。
あなた

そっかー。

大丈夫かな…
でも、感染症だし、お見舞いにも行けないよね…
よっ!久しぶり!
沙也加
おー、翔じゃんー!
久しぶり〜相変わらずあなたにアタックするね〜
だから、そんなんじゃねーって言ってんだろ!?
あなた

ひ、久しぶりだね。

なんとなく緊張して、声が上ずってしまった。 
あれ以来、全然喋ってないけど、やっぱり、好きという思いは変わらない。正直、話しかけられるだけで、かなり、ドキドキして、口から心臓が出そうになる。
そういや、お前ら、今日、一緒に帰るんだよな?
沙也加
そーだけど?
俺も一緒に行っていいか?
ええええ!?嘘でしょ!?
そんなの、無理だよー
沙也加
はぁー?なんで翔が一緒に私たちと帰るのー?
あんた、いっつも飯田と一緒に帰ってるじゃん。
いいだろ、別に。
飯田は、今日委員会があって、帰りおせーんだよ。
沙也加
えー。私は、まぁ、別に問題は無いけど、あなたは?
あなた

え、あ、大丈夫だよ…

ああー、なんでOKしちゃうのー。
そりゃあ、嬉しいけど、緊張しちゃうし、絶対黙りこくっちゃうよ…何やってんの、私。
よっしゃー、じゃあ、決まりな!
そう言って、翔くんは自分の机に戻っていった。朝礼のあと、体育館へ行き、始業式が始まった。

やっぱり、校長先生の話って、聞いてて退屈だし、眠いなぁ…。

適当に他のことを考えている間に、校長先生の話は終わった。
沙也加
長かったねー、校長の話ー。
私途中から寝ちゃった笑
教室へ戻る途中、沙也加が話しかけてきた。
あなた

そうだねー。

教室に着くと、明日の時間割の確認などをしてから、すぐに解散となった。
沙也加
やっと帰れるーっ!
沙也加がのびをしながら喋っていると、翔くんがやってきた。
でも、明日からは前みたいに夕方だぜ?帰んの。
沙也加
わかってるよー、だから、今日の午後をたっぷり満喫するの!
あ、そういえば、あなた、授業どこまでいったかわかんないよね?私、今日、暇だから、教えてあげよっか?
帰り道を歩きながら、沙也加が話した。
あなた

え、いいの?

いやー、沙也加の頭だと、あてになんねーだろ。
沙也加
失礼だなー、じゃあ、翔が教えればいいじゃん。
あ、それはまずい。絶対に集中できない。
まあ、理系は沙也加より、確実にマシだからな。
沙也加
うるさいなー、じゃあ、翔が理系教えれば!
おう!理系なら楽勝だ!
あなた

えっとー、私が話に入れてない気が…笑

沙也加
あ、ごめん…
で、今日、大丈夫??
大丈夫?って言われてもここまできたら、引くに引けないよ、トホホ…
あなた

うん、大丈夫だよ。どこでする?

沙也加
んー私の家でいいかな?
駅まで来てくれたら、迎えにいくよ!
じゃあ、13:00に沙也加の駅に行くか。
あなた

そうだね。

沙也加
じゃあ、決定ー!って、電車の時間ヤバくない!?走ろ!
え、まじかよ。
2人に連れられて、私も駅まで走った。
なんとか電車には間に合って、いつもの駅で翔くんと降りた。

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