第6話

信頼の場所。⑵
580
2018/01/24 12:20
日曜日

待ち合わせの場所に約束の20分も前に着いてしまった。

沙也加にキーホルダー返さなくちゃ…
あの後、キーホルダーのことは、LINEで伝えて、すぐに大丈夫って言われたけど、大切なものだったらどうしよう…

どうしても、何回も傷がついたりしてないか確認してしまう。
沙也加
あなたーっ!
お待たせ!
沙也加が栞と一緒に走ってきた。
あなた

久しぶり!

久しぶり〜、待った?ごめんねー
あなた

そんなことないよ!
あ、沙也加、キーホルダー、ごめんね。

持っていたキーホルダーを沙也加に手渡す。
沙也加
ううん、大丈夫だよ!
それより、無くしたと思ってたから、あなたが持ってるって知った時、ほっとしたし〜
沙也加、本当に慌ててたもんねー
あなた

そんなに大事なものだったんだ、
誰かからもらったの?

沙也加
…まぁ、そんなとこかなー
それより、早くヘアピン買いに行こっ!
一瞬沙也加の顔が曇った気がしたけど、あまり詮索しないでおこう。誰だって聞かれたくないものはあるもん…
そーだね!行こっ、あなた!
あなた

うん!

沙也加が案内してくれた店は外装は派手ではないものの、可愛くて、アンティーク系な感じだった。
沙也加
あ、あった!これだよー♪
沙也加が指差した先には、あのすみれのヘアピンがあった。

綺麗…でも、私に似合うかな…
ねぇ、もしかして、あなた、自分には似合わないとか思ってるのー?
あなた

え、まぁ、今までこういうのつけたことがなかったから…
やっぱり私いいよ、栞だけ買って。

沙也加
そーゆーこと言わない〜、
あなたにも絶対似合うよ!
ほら!
沙也加が私にヘアピンをつけてくれた。
少しアレンジを施した髪に添えられたヘアピンは、予想以上に髪を華やかに飾っていた。
あなた

すごい…

やっぱり似合ってるよ、一緒に買おうよ!
あなた

うんっ!
ありがとう、沙也加。

沙也加
それほどでも…あるかな?笑笑
さすが沙也加様〜なんてねー笑
お会計をした後、すぐにまたヘアピンを沙也加につけてもらった。
あなただけずるいよー
沙也加、私にもつけてよ!
沙也加
はいはい〜
これで3人お揃いだね!
おそろい…友達とおそろいのものを持つなんて、初めてだ。
私は、ヘアピンに触れながら、これまでにない、喜びを感じていた。


その後、お昼ご飯を一緒に食べて、ゲームセンターに行った。

ゲームセンター、あんまり行ったことなかったから、どういうのがあるのか知らないけど大丈夫かなー
あ、あれやろう!
栞が指差したのは、予想外にガンシューティングゲームだった。
あなた

え、あれ?

沙也加
あなた、怖いの苦手なの?
あなた

いや、栞がなんかそういうゲームするって意外だなって思って。

沙也加
あー、この人、こんな顔して意外とそういうホラーゲームとか大好きなんだよねー。ゲーセン来ると、絶対にあのゲームやらされるから、私まで得意になっちゃった。
ねーねー、早く行こっ!
栞はガンシューティングゲームのところまで走り、コインを入れ始めた。
沙也加
気が早いってば…
ったくもう。あなた、やる?
このゲームは2人用だし、まずは見るだけにしておこうかな。
あなた

最初はいいや。でも、沙也加がやった後にちょっとやってみたいかなー。

沙也加
OK!
間もなくして、ゲームが始まった。
2人とも圧巻のスピードで銃を撃っている。周りの人も気に留めるレベルだ。

まぁ、こんな可愛い女子高生が笑顔でこんなにやってたら、驚くよね…。私だってかなりびっくりしてるし…

そうこう思っているうちに、ゲームは終わり、画面には、パーフェクトの文字があった。
あなた

すごいねー。私にできるかな。

沙也加
そんなに難しくないから、大丈夫だよー。
沙也加がだいたいの操作方法を説明してくれたが、とてもできる気がしない。

操作を確認している間に、ゲーム開始の合図がなった。

見た感じよりかはそんなに難しくもないかも…
視力だけはいいので、割と奥の方にいるゾンピンビも撃ち倒すことができた。
あなた、やるねー。
これ、やったことあるの?
あなた

ううん、初めて。

栞は喋っていても余裕だが、私は手短かに返事をしないと、気を取られてすぐにゾンビが近づいてきてしまう。
沙也加
すごいね、初めてでこんなにできる人、そうそういないんじゃない?
あなた

視力いいからかなー。

視力いいと、狙いやすいもんね。
いいなー、羨ましい。
何だかんだ喋っている間にゲームは終わった。
パーフェクトではなかったが、ノルマは達成できたようだった。
あー、楽しかった!
あなた

もう17:00だねー。あっという間。

沙也加
そーだね、そろそろ帰ろっか。
電車に乗ると、栞は疲れてしまったのか、沙也加にもたれかかって寝ていた。私の降りる駅に着くと、沙也加が栞を起こさないように、手だけ振ってくれた。

それにしても、楽しかったー。
おそろいのヘアピン、買えてよかった。
絶対無くさないように、肌身離さずちゃんと持っておこう。

家に帰ると、夕飯を食べて、すぐにベッドに突っ伏してしまった。

早く学校が始まらないかなー。そんなことを思いながら、私はいつのまにか眠りについていた。

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