日曜日
待ち合わせの場所に約束の20分も前に着いてしまった。
沙也加にキーホルダー返さなくちゃ…
あの後、キーホルダーのことは、LINEで伝えて、すぐに大丈夫って言われたけど、大切なものだったらどうしよう…
どうしても、何回も傷がついたりしてないか確認してしまう。
沙也加が栞と一緒に走ってきた。
持っていたキーホルダーを沙也加に手渡す。
一瞬沙也加の顔が曇った気がしたけど、あまり詮索しないでおこう。誰だって聞かれたくないものはあるもん…
沙也加が案内してくれた店は外装は派手ではないものの、可愛くて、アンティーク系な感じだった。
沙也加が指差した先には、あのすみれのヘアピンがあった。
綺麗…でも、私に似合うかな…
沙也加が私にヘアピンをつけてくれた。
少しアレンジを施した髪に添えられたヘアピンは、予想以上に髪を華やかに飾っていた。
お会計をした後、すぐにまたヘアピンを沙也加につけてもらった。
おそろい…友達とおそろいのものを持つなんて、初めてだ。
私は、ヘアピンに触れながら、これまでにない、喜びを感じていた。
その後、お昼ご飯を一緒に食べて、ゲームセンターに行った。
ゲームセンター、あんまり行ったことなかったから、どういうのがあるのか知らないけど大丈夫かなー
栞が指差したのは、予想外にガンシューティングゲームだった。
栞はガンシューティングゲームのところまで走り、コインを入れ始めた。
このゲームは2人用だし、まずは見るだけにしておこうかな。
間もなくして、ゲームが始まった。
2人とも圧巻のスピードで銃を撃っている。周りの人も気に留めるレベルだ。
まぁ、こんな可愛い女子高生が笑顔でこんなにやってたら、驚くよね…。私だってかなりびっくりしてるし…
そうこう思っているうちに、ゲームは終わり、画面には、パーフェクトの文字があった。
沙也加がだいたいの操作方法を説明してくれたが、とてもできる気がしない。
操作を確認している間に、ゲーム開始の合図がなった。
見た感じよりかはそんなに難しくもないかも…
視力だけはいいので、割と奥の方にいるゾンピンビも撃ち倒すことができた。
栞は喋っていても余裕だが、私は手短かに返事をしないと、気を取られてすぐにゾンビが近づいてきてしまう。
何だかんだ喋っている間にゲームは終わった。
パーフェクトではなかったが、ノルマは達成できたようだった。
電車に乗ると、栞は疲れてしまったのか、沙也加にもたれかかって寝ていた。私の降りる駅に着くと、沙也加が栞を起こさないように、手だけ振ってくれた。
それにしても、楽しかったー。
おそろいのヘアピン、買えてよかった。
絶対無くさないように、肌身離さずちゃんと持っておこう。
家に帰ると、夕飯を食べて、すぐにベッドに突っ伏してしまった。
早く学校が始まらないかなー。そんなことを思いながら、私はいつのまにか眠りについていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。