白い息を吐きながら、帰り道を歩く。
もうすぐ雪が降りそうなんて、ぼけーっと考えながら
朝まいてきたマフラーは、帰り道も健在で
スマホを見ながら、、、なんて、
今の時代、私の立場なんてすぐ拡散されちゃう。
だから冷たい手をポッケに突っ込んで
信号が青に変わるのを待っていた。
言い返したら負け、同じことをしたら負け。
そんなことずっと前から分かってる。
何か一つでもやり返したら、成瀬さんたちの
思うつぼ。
人は楽しいことよりも暗いことのほうがずっと残るし
ネガティブになるのはしょうがないと思うけど
そんな人生楽しくないよね。
ずっと楽しまなきゃ。
人生につまらない日はないよ
って菊池が言ってた。
あいつのくせになかなかいいこと言うじゃん??←
だから、今日あった楽しいことを考える時間が好き。
そんなことばっか考えてた。
うそ、実はやっぱりボケーッとしてた。←
だから、周りの人の声が聞こえなかった。
夢かと思った。
「危ないっ…!!!!!」
その声に驚き、咄嗟に前を見た時にはもう遅かった。
『うへっ…!?』((
キキィッッ!!!
天国かってくらい眩しい車のライトと
甲高い悲鳴や、助けを呼ぶ人達の声で溢れかえった
__そして浮かんだ勝利の顔。
叫んでくれたあの声、勝利に似てた気がするな、笑
私はその中で、意識を手放した。
「だから言ったじゃん。笑」
それが、朦朧とする意識の中で
はっきりと聞こえた
___成瀬さんの声だった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。