第8話

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2019/01/18 08:13
あの一夜から3日たったお昼頃。
突然東堂さんに呼び出された。
諸星明日香
諸星明日香
東堂さん、失礼します。
私は一声かけてから東堂さんの部屋の襖をそっと開ける。
東堂勝利
東堂勝利
あぁ、突然悪いな。
諸星明日香
諸星明日香
いえ。それで、話って何ですか?
東堂勝利
東堂勝利
実はだな...廣瀬が今屯所に住んでいるだろう?あいつは昔っから特別扱いされるのをとにかく嫌う。何に対しても自分で背負い込もうとする悪い所があってな。
諸星明日香
諸星明日香
はぁ...
東堂勝利
東堂勝利
この間の土佐藩士とのやり合いも話を聞いた時はゾッとした。確かに剣術の腕前に心配はない。でもよく無理するし、妙に負けず嫌いでもある。...つまりだ。
私はごくりと唾を飲み込んだ。
東堂勝利
東堂勝利
明日香。お前には、廣瀬が屯所に住む間、廣瀬あいつの小姓についてもらう。
...。


え???
諸星明日香
諸星明日香
こっ、小姓...???私が...ですか?
東堂勝利
東堂勝利
そうだ。芸妓の仕事がある日は仕方がないが、屯所にいる日はあいつについてくれ。
まってまって!
頭が追いつかない...!
私が廣瀬さんの小姓になる?
諸星明日香
諸星明日香
つっ、つまり、世話をしろと?
東堂勝利
東堂勝利
なんだ?嫌か?
諸星明日香
諸星明日香
い、いいえ!その、嫌ってわけではないんですけど...予想外すぎて...。私なんかでいいんでしょうか?
東堂勝利
東堂勝利
あぁ。むしろお前くらいしか頼めるやつがいねぇからな。
私に廣瀬さんの小姓なんてできるんだろうか...。
散歩に出かけたあの夜、確かにいい人だってことはわかったけど、どこか自由奔放というか...。
十五郎さんの息子の優心くんとか、適当に面倒見良さそうな平隊士とかでも捕まえて小姓にさせてもいいんじゃ...。
東堂勝利
東堂勝利
あんまり納得のいかねぇ顔だな。俺はてっきり喜ぶと思ったんだが...
諸星明日香
諸星明日香
え?喜ぶ?
するとその時、スパンっと襖が開いた。
廣瀬一太
廣瀬一太
何面白そうな話してるんですかー?
東堂勝利
東堂勝利
廣瀬っ、急に入ってくるな!
廣瀬一太
廣瀬一太
いいじゃないですか、僕が無関係な話ではなさそうですし?
東堂勝利
東堂勝利
聞いてたのか?
廣瀬一太
廣瀬一太
たまたまですけど。
東堂勝利
東堂勝利
ったく...まぁいい。丁度よかった。今日からこいつをお前の小姓にさせる。
廣瀬一太
廣瀬一太
へー。小姓、ですか。明日香が?
廣瀬さんはニヤリとしながら私の顔をちらりとみる。
なんだか恥ずかしくて俯いてしまう。
諸星明日香
諸星明日香
よっ、よろしくお願いします...
廣瀬一太
廣瀬一太
うん、よろしく。
廣瀬さんは満足気な笑みで微笑む。

ちょっと、怖いんですけど...。
廣瀬一太
廣瀬一太
東堂さん、小姓っていうことは俺の下僕...つまり、俺の下す命令は絶対、なんですよね?
東堂勝利
東堂勝利
あ?
諸星明日香
諸星明日香
はい?
私と東堂さんの素っ頓狂な声が重なる。

下僕...?命令?
な、何言ってるんだ...この人...

東堂勝利
東堂勝利
いや、小姓だからと言ってこいつをこき使うのはどうかと思うが。
諸星明日香
諸星明日香
わっ、私も...多少のお手伝いはしますけど、犬じゃないんで...。
廣瀬一太
廣瀬一太
へー、犬、ね。
なんか嫌な予感が...
廣瀬一太
廣瀬一太
...じゃあ要らないです。小姓なんて。
東堂勝利
東堂勝利
は?
廣瀬一太
廣瀬一太
そもそも俺には必要いりません。姉貴が死んだときから今まで1人で生きてきたんで今更小姓とか不必要。
ちらりと東堂さんを見ると、私に向かって口パクで何かを伝えようとしている。

えーと...


た、、の、、む、、?


まさか、この我儘を受け入れろと!?
くっ、くそっ...!
諸星明日香
諸星明日香
わ...わかりましたっ!受け入れます...っ!
廣瀬一太
廣瀬一太
よし、偉いぞ〜明日香!はははっ!
楽しそうに笑いながら私の頭を撫でる廣瀬さん。

だから!私は犬じゃないってば!!

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