初めは疑っていたけど、明日香と話して行くうちに、自然と心を開いていた。
そしてわかった。
明日香は、長州の患者なんかではない。
こいつはいつも誰に対しても気配りができる。そんで、月宮団隊士を尊重している。
きっと、月宮団になくてはならない存在だ。
三条大橋に差し掛かったところで、おっさん3人組が絡んできた。
めんどくさいなぁ...。
何より、俺たちの楽しかった空間をぶち壊してくれたことに腹が立った。
明日香は心配そうに俺の顔をみる。
...そうだ。
明日香がいる。
俺がばっさり斬っちゃうと、こいつは怖がるんだろうな...。
だから、腹が立つ気持ちをぐっと抑えて殺すのを避けた。
そのとき、浪士が放ったあの言葉。
化け物-。
この言葉を言われたのは初めてじゃなかった。
何度も言われ続けてきた。
だから、慣れたはずだったのに-。
どうしても、屯所に帰ってからもその言葉が俺の頭の中を彷徨い続けた。
こびりついて離れない黴のように-。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。