第3話

-2話-不幸な少年
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2019/06/30 05:26
少年は明るく素直な性格だった。






少年がはっきりと異変に気づいたのは中学生になってからだった。




小学一年生の少年は三日で友達がたくさん出来た。





だが、9月の中旬辺りで少年の周りから人は誰一人として集まってこなくなった。





少年は自分から話しかけに行ったが、無視をされ無駄になった。







小学三年生のクラス替えで少年はまた友達が出来た。






だが、案の定裏切られ、少年は人を信用出来なくなった。





少年は仲良くなることを怖がり、友達をあまり作らなくなった。






家族すらも警戒し始めた。








中学生になり、はっきりと発覚した。





結局最後は裏切られる運命なんだと。







だが、これが家族の場合はどうなるのだろうか。





それが分からず、少年の不安は溜まっていくのだった。







そんなある日のこと。








少年は突然、悪夢を見るようになり始めた。





家族を殺す夢。



少年はまるで悪魔のように暴れまわる。


「もう誰もいらない!俺は一人でいい!いらない…いらない…いらない……」



少年はそんな言葉を繰り返し言うのだ。


そして、少年は捕まる。



そこで夢は覚める。




少年はこの夢は予知なんかじゃないかと自分が怖くなる。




少年は自分すらも信じられなくなってしまうのだった。




そんなある日、少年の祖母が事故で亡くなった。




少年は亡くなったにも関わらず、悲しめなかった。






祖母の写真が自分を睨んでるんじゃないかと幻覚すら見えるように少年はなってしまう。





母親などは涙を流し、悲しんでいる。







少年は母親と自分の間には透明な壁があるんじゃないかともう何もかもが分からなくなる。





“一人だけ違う世界に居るようだ”






なんて思うことは何回もあった。





少年は母親から祖母からの手紙を受け取る。



ー君へ

大丈夫かい?
最近、元気が無いよ。
相談に乗ってあげればよかったかな。
私は何も言わない方がいいかと思い、何も言いませんでした。
なんだが、最近調子が変なので一応手紙を書いておくことにしました。
ry



私は死んでも見守っているよ。
ー君が幸せになれるように。
私は絶対に裏切らないから安心しなさい。
じゃあ、この辺でさよならだね

祖母より





少年は自然と涙が出てきた。




心の奥に閉じ込めていた感情はいつの間にか溢れていた。





少年はもう一度祖母の写真を見つめる。




その時、少年の瞳には祖母が輝いているように見えた。




少年は呟くのだった。





「光を取り戻してくれてありがとう…絶対に忘れないよ……」








次の日から少年は以前とは別人のように明るくなった。






その時、少年の家族の表情は安心していた。




少年は家族の表情を久々に見た。




家族を見て少年も安心し、笑うのだった。




だが、少年の心はある日突然、頑丈に閉じてしまう。













祖母が亡くなり一ヶ月が経ったある日。






少年は家族にまで裏切られしまうようになった。







それは少年の一番恐れていた事であった。







少年は祖母が亡くなる前よりも頑丈に心を閉じたのだった。







一週間後、少年はついに限界が来た。






「僕のことは誰一人として必要としてないんだ」






少年はそう呟いた。




その日の夜、少年は久しぶりにいい夢を見た。






真っ白な世界に少年と少女が立っているだけ。






その世界は少年が望む綺麗な世界だった。




少年は自分と似ている少女が気になり、歩き出す。





だが、途中で目は覚めてしまう。






少年は思う。




“少女が誰かに似ているようながする”








そんな夢を見てから、数日が経つ。




今日は流れ星が流れる日。



少年は願うことを決めていた。



ついに星は流れ始めた。




「どうせ皆に裏切られる運命なら夢の世界に留まっていたい」






少年は強く願うのだった。











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