第10話

-8話-合図
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2019/06/30 07:26
少女は叫び始める。





「ぎゃぁぁぁあぁぁぁ」




少女の母親はナイフを少女に投げ、高笑いをしている。





少女の足に、腕に、首に、グサグサと刺さる。





最後は心臓へと突き刺さり、少女は瞳を閉じる。






数秒後、目を覚まし、また同じことが繰り返される。







少女の中から徐々に“痛み”という感情が抜けていった。




暫く耐えた少女はさすがに限界を超えてしまった。





少女は少年を見つめ、小さく呟くのだった。




「たすけて……」













少年は振り向く。




少年の目の焦点が元通りになった。




少年は“ドリームロボット”を蹴り飛ばし、一方方向へと走り出す。




「やめろ!まだ死ぬなぁぁぁ!!!」






少年は途中、何かに弾き飛ばされてしまった。




「なんだよ…このまま何もせず見てろって言うのか……!!!」





目には見えない壁が二人を完全に離していた。





少年は訴えるように叫ぶ。



壁を叩き、少女に気づいてもらえるように。






「自由になれー!こいつらを倒して、二人で自由になろう!こんな時に言うことじゃねーかもだけど…俺はキミのことが好きなんだ!同情なんてしてない!キミに一目惚れしたんだ……。だから、生きてくれ!!!死なないでくれ……もう大切な人を失いたくない!」







少女は振り向くが、話す間もなく消えては現れるのだ。










少女は虚ろな目をしていた。






少女は立ち上がり、壁へ走る。






少女は語る。





「この地獄から出て、誰かが救ってくれるの?……どうせ、裏切る。人は裏切る……どんなに頑張って訴えても無駄なだけ!もういいよ……」



少女の瞳の奥にはまだ少しだけ光が見えた。



少年は諦めなかった。


少年は何かを想像しながら語る。



「キミは見たことがある?空ってさ、すっごく広いんだ!無限にどこまでも続いてるんだよ。キミも僕も皆、人間は一人一つ特別な力を持つらしいんだ。でも…それは自分でしか開花することは出来ない……。キミは強くなれるよ!まだ遅くない!僕ももっと強くなるから、キミも一緒にこの世界から抜け出そう!そして、二人で現実世界で会おうよ!絶対絶対会おう!約束だ!!!僕は絶対に裏切らない!」





少年は少し不安があった。






“裏切られるのは僕の方かもしれない”




少女は赤い涙を流し、少年に問う。








「本当に…?本当に裏切らないでくれるの?私を助けてくれるの?…捨てないでくれるの?………私…つよくなれるかなぁ……」




少女は思う。




“裏切らない人間がいるわけない……”






少年は嬉しそうに叫ぶ。






「うん!キミは強くなれる!一緒に願おうよ!“幸せが訪れますように”ってさ。」





少女に瞳は少しずつ光を取り戻していった。




少女は別人のように明るく叫ぶ。



「……分かった!約束だよ!キミも…キミも負けないで!!!こいつらを倒してまた話そう!」






少女と少年は互いに拳を向け、合図をする。






少年はスッキリしたような顔で叫ぶ。






「反撃のスタートだ!」







お互い振り返り歩き出した。

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