第6話

期待 (※アンケート有)
534
2020/07/21 13:09
椚三波斗
椚三波斗
おいしい?
七辻(なまえ)
七辻あなた
はい、とっても…!
四季涼雅
四季涼雅
貧血で倒れたんでしょ、
遠慮なくもっと食べていいからね?

なぜ、こんなことになっているのか。





事の発端は、病院での衝撃的な告白だった。

───
???
???
行方不明、です。
双葉小太郎
双葉小太郎
え…、…えぇっ!!?
警察に相談は!?
???
???
…あっ、事件に巻き込まれたという訳ではなく、ですね!
……その、蒸発したと言いますか…
双葉小太郎
双葉小太郎
蒸発…!?それってあの、突然いなくなった、みたいなやつですよね、?
???
???
はい。
なので、これから先どうしようかと考えていたところだったんです
双葉小太郎
双葉小太郎
そうだったんですね…。
…あの、会ったばかりなのに変ですけど、力になれることがあれば言ってください、大したことは出来ないんですが
???
???
…ありがとうございます、お優しいんですね
コンコン
市川慶一郎
市川慶一郎
お医者さん呼んできましたよ、
医師
医師
失礼します。体調はいかがですか?
???
???
点滴まで打って頂いたおかげか、ずっと良くなりました。 
医師
医師
それは良かった。簡単な検査をして問題ないようでしたら、すぐに退院して頂けると思います。身内の方に連絡はとれますか?
???
???
あ…、
双葉小太郎
双葉小太郎
…その、お医者さんに説明するなら僕達出てましょうか?
???
???
いえ、このままで大丈夫ですよ、お気遣いありがとうございます。
…身内のことなのですが、実は─


話によると、

彼は現在高校三年生で、半年前に父親を亡くしてから母親と二人で暮らしていたそうだ。

自身も学業の傍らアルバイトをして生活費を稼いでいたのだが、ある日夜遅くに自宅のアパートへ帰ったところ、鍵が変わっていたらしい。
生活が苦しくなってから自分の携帯電話は解約してしまい、公衆電話から母親の携帯電話やアパートの固定電話に何度もかけたのだが繋がらなかったという。
家賃等は母親に任せていたため詳しくは知らないそうだが、恐らく滞納していたために強制的に追い出されたのだろうということだった。

アルバイト代は月末に貰える予定であるとは言えど、日々の食費でギリギリで貯金もない中で帰る家もなくなり身一つになってしまったこの状況では、明日からどう働けばよいのかと頭を抱えていた。
ただでさえ学校帰りに働き疲れていた彼は、何も考えられずふらふらと歩くうち、幼い頃からよく来ていた白い花の咲く丘に辿り着いた。
そこで、星が綺麗だな、なんて思ったのを最後に、記憶が途切れている、とのことだ。

市川慶一郎
市川慶一郎
…それは、また……
双葉小太郎
双葉小太郎
あの、他の親戚のあてはないんですか?
???
???
…それが、改めて考えると少し不思議なんですけど、祖父や祖母は顔を見た事も無いんです。
名前も一度聞いたかどうか程度で、覚えてすらいません
医師
医師
成程、そんな事情がおありだったとは。
…しかし、そうなると…
???
???
病院代、ですよね?今は手持ちが無いのですが、休学してアルバイトに専念して必ずお返ししますので、その…
医師
医師
ああ、診察料は後日払いも出来ますのでご心配なく。
…余計なお世話かもしれませんが、大変な状況でしょうから何かお手伝い出来ないかと思いまして
双葉小太郎
双葉小太郎
……あのさ、市川くん
市川慶一郎
市川慶一郎
うん?
双葉小太郎
双葉小太郎
…やっぴくん達にお願いして、少しの間でいいから、9bicハウスに泊めてあげられないかな…って…
市川慶一郎
市川慶一郎
…正直、それは俺も少し考えてた。
聞くだけ聞いてみるか
???
???
…?
医師
医師
……そうだ、先に検査を済ませてしまいましょうか。もう立てそうですか?
???
???
分かりました。
大丈夫です、ありがとうございます
医師
医師
では、行きましょう。
(スライドドアの閉まる音)
双葉小太郎
双葉小太郎
…ど、どう?
市川慶一郎
市川慶一郎
これからの事はまた後で話し合わないと駄目だけど、少なくとも今日は良いって
双葉小太郎
双葉小太郎
やった!!良かったね!
市川慶一郎
市川慶一郎
そうね、流石にあれは可哀想すぎる
双葉小太郎
双葉小太郎
戻ってきたら来てもらえるか聞かないとね!
─────
そこからまた少しあって、暫定的には今日だけとはいえ歓迎会を開くことになり、今に至る、という訳だ。

久し振りに吹いた新しい風に浮かれていたのか、初対面にも関わらず皆彼を弟のように甲斐甲斐しく世話を焼いた。

そして、呼び方に困るからということで教えてもらった彼の名は「七辻ななつじ あなた」。
七だなんて偶然だね、なんて誰かが言った時、きっとあなたを除く全員が、ある小さな期待を胸に抱いたに違いない。
それはまだ、口にするには夢物語すぎるけれど。
もし、もしそんな日が来るなら幸せだなと、
ただそれだけ考えて、眠りに就いたのだった。


(作者からのコメント/
変に長い!そして地の文と吹き出しとのバランスが悪い!!…ごめんなさい。バランスを保とうとすると更に長くなってしまいそうなので、読みやすさを優先して断腸の思いでこうしました。

以前、ネット環境に居れない時はノートにプロットを書き溜める、と書きましたが、実際に打ち込んで見た時のバランスでかなり変わる場合もあります。そのために、先にいくつもプロットを作っても無駄になってしまう可能性があるので、他の作品も並行して連載すれば上手い具合に時間も無駄にならないのではないかと思いました。
そこで、次の作品のアンケートをとらせて下さい。
①9bic男花魁パロ(夢機能なし)
(性的なものを意図している訳ではないので、正確に言うなら「芸者」が正しいです)
②9bicファンタジーパロ(夢機能なし)
③9bicファンタジーパロ(女主人公/夢小説)
上の三つのうち、どれが読みたいか、コメントにお書き下さい。初見でも大丈夫ですし、数字だけのコメントでも構いませんので、皆様の希望をお聞かせ下さい、是非ご協力お願い致します)

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