なぜ、こんなことになっているのか。
事の発端は、病院での衝撃的な告白だった。
───
コンコン
話によると、
彼は現在高校三年生で、半年前に父親を亡くしてから母親と二人で暮らしていたそうだ。
自身も学業の傍らアルバイトをして生活費を稼いでいたのだが、ある日夜遅くに自宅のアパートへ帰ったところ、鍵が変わっていたらしい。
生活が苦しくなってから自分の携帯電話は解約してしまい、公衆電話から母親の携帯電話やアパートの固定電話に何度もかけたのだが繋がらなかったという。
家賃等は母親に任せていたため詳しくは知らないそうだが、恐らく滞納していたために強制的に追い出されたのだろうということだった。
アルバイト代は月末に貰える予定であるとは言えど、日々の食費でギリギリで貯金もない中で帰る家もなくなり身一つになってしまったこの状況では、明日からどう働けばよいのかと頭を抱えていた。
ただでさえ学校帰りに働き疲れていた彼は、何も考えられずふらふらと歩くうち、幼い頃からよく来ていた白い花の咲く丘に辿り着いた。
そこで、星が綺麗だな、なんて思ったのを最後に、記憶が途切れている、とのことだ。
(スライドドアの閉まる音)
─────
そこからまた少しあって、暫定的には今日だけとはいえ歓迎会を開くことになり、今に至る、という訳だ。
久し振りに吹いた新しい風に浮かれていたのか、初対面にも関わらず皆彼を弟のように甲斐甲斐しく世話を焼いた。
そして、呼び方に困るからということで教えてもらった彼の名は「七辻 あなた」。
七だなんて偶然だね、なんて誰かが言った時、きっとあなたを除く全員が、ある小さな期待を胸に抱いたに違いない。
それはまだ、口にするには夢物語すぎるけれど。
もし、もしそんな日が来るなら幸せだなと、
ただそれだけ考えて、眠りに就いたのだった。
(作者からのコメント/
変に長い!そして地の文と吹き出しとのバランスが悪い!!…ごめんなさい。バランスを保とうとすると更に長くなってしまいそうなので、読みやすさを優先して断腸の思いでこうしました。
以前、ネット環境に居れない時はノートにプロットを書き溜める、と書きましたが、実際に打ち込んで見た時のバランスでかなり変わる場合もあります。そのために、先にいくつもプロットを作っても無駄になってしまう可能性があるので、他の作品も並行して連載すれば上手い具合に時間も無駄にならないのではないかと思いました。
そこで、次の作品のアンケートをとらせて下さい。
①9bic男花魁パロ(夢機能なし)
(性的なものを意図している訳ではないので、正確に言うなら「芸者」が正しいです)
②9bicファンタジーパロ(夢機能なし)
③9bicファンタジーパロ(女主人公/夢小説)
上の三つのうち、どれが読みたいか、コメントにお書き下さい。初見でも大丈夫ですし、数字だけのコメントでも構いませんので、皆様の希望をお聞かせ下さい、是非ご協力お願い致します)
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。