そういうと近づいてくる宮川。
それと共に来る強烈なお酒の匂い。
朝まで借りた金で飲んでそんで私のとこ来たって訳…
その途端、どっから隠し持ってたのか
ナイフを私の手に切りつけた。
その痛みに気を取られてると
当分手を洗ってないだろう宮川の手で
私は手の自由を奪われた。
まだ顔を切りつけられなくてよかった、というのと
いや手でも充分痛いわぱっくり切りやがって、というのと、
行きたくない、やばい、というのが
頭の中でグルグルと回っている。
まだ自由がきく足で何かしようと思うけど
また次顔を狙われたら、と思うと
アイドルとしては抵抗が出来なくなってしまっていた。
誰かっ、… と助けを呼ぼうとすると
その前に誰かに引っ張られて
世界一安心する胸の中へ。
涙で前は見えないけれど
助かった、というのはこの温もりからわかる。
やっぱ、仲間しか勝たん……!
徐々に涙がひいてきて、上をむくと
拓哉に抱きしめられてるのだと、わかった。
そこには揃って宮川を睨みつけているみんながいた。
そう言われると襲ってくる強烈な寒気。
私は震える手で拓哉の服の裾を掴んだ。
と、同時に振り回されるナイフ。
やばい、私のせいでみんなが怪我しちゃうかも…
心のその言葉で宮川をもう一度よく見てみると
確かに目の焦点は合ってないし
手は小刻みに震えてる。
だから心も、今簡単にナイフを奪えたんやな。
流れる沈黙。
吐きそうになるほどの気持ち悪さ。
そんなの、答えは1つに決まってる。
宮川の気持ち悪い声が辺りに響き渡る中
私は自分の家へ戻った。
私は、今までの被害を全て話した。
やっぱり、関西ジャニーズJr.は
大好きな、大好きな仲間です。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!