第490話

470 守りたい
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2022/04/08 01:50

男の人が吹っ飛んだ衝撃でドレスがぶわっと広がって



私の目に入ったのは新郎風の白いスーツを身にまとって



少し濡れ髪でオールバックにしている恭平だった。






















何回も何回もこうなった。
何回も何回も私がヘマして
何回も何回もみんなに守られて。











………… なあ、私ってなんも出来ないな。























高橋 恭平
高橋 恭平
あなたっ!!、大丈夫?なんかされてない?
あ な た
あ な た
……… うん、んっ、泣
高橋 恭平
高橋 恭平
……………
高橋 恭平
高橋 恭平
誰ですかあんた、俺のあなたに何しようとしてたんすか
……… さあね、何をしようとしてたと思う?
高橋 恭平
高橋 恭平
しらん、俺に聞いてくんな
高橋 恭平
高橋 恭平
📞 もしもし、心。あなたいた、なんか男の人にされとったから警察呼んどいて。
















片方の手で男の人を掴んで
もう片方の手で私の頭を撫でたり、電話しながら
てきぱきと動いてくれる恭平。









ありがたいのに、ありがたいのに、
罪悪感の方が勝ってしまう。


またみんなに迷惑かけちゃった、また守られた、私は普段その分を返せてるの?
みんなはきっと大丈夫だよなんていうけど、それはいったい、本心なの?






























中山 心
中山 心
あなたっ!!!!
中山 心
中山 心
心配した、無事でよかった…………
ほんまになんもされてへん?
あ な た
あ な た
うん、なんも、
中山 心
中山 心
…………
中山 心
中山 心
今日はもう帰ろっか、こんな状態で撮影なんかできひん。
あ な た
あ な た
……… いや、できる、
西畑 大吾
西畑 大吾
あんま無理せんで、?
怖かったやろ きっと












恭平と同じように白いスーツを着て
耳掛けやらオールバックやらしたみんなが
心配そうにこちらを見つめてくる。


























あ な た
あ な た
いいよ、やる。無理してへんから。
道枝 駿佑
道枝 駿佑
あなた、今日h
あ な た
あ な た
だって仕方ないやんか!!!!!!!!
あ な た
あ な た
またみんなに迷惑かけたんに!!!!!

















久しぶりに出た怒りに任せた大声。
みんなが驚いてるのに、私の感情は止まることを知らない。
ずっとずっと地下で溜めてきた嘆きや悔しさが
キャパオーバーしてどーん、と出た感じ。























あ な た
あ な た
いっつもいっつも私はみんなに迷惑かけんねん、今だってそう、全部全部そう!!!!!
あ な た
あ な た
なのに雑誌の撮影までやめたらもっと迷惑なるやん、じゃあやろう、やろ、?
あ な た
あ な た
もう、嫌やねんて、

















それだけいって私は崩れ落ちた。
ドレスが座ったはずみに円形に広がる。
けどもうそんなことどうでもよかった。








繊細なチュールのドレスも
新鮮でかっこいいみんなの新郎姿も
感情に任せた大声も
あの男の人がどうなったのかも












全部、全部、どうでもよかった。





目がどんどん閉じてく、
いいよ、もう、このままで。


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