目が覚めた時には、夢の中だった。
なんで夢の中で目が覚めたのか、なんでそこが夢の中だとわかるのか…
なんて、私にも分からない。
ただ何故か、必然的にここは夢だとわかった。
ぼーっ、としていると
後ろから、甲高くて耳に馴染まない若い女の子の声が聞こえた。
恭平の腕に巻き付きながらそう言う女の子。
今はその攻撃きくなあ………… (笑)
ただでさえ頭が冷えてきてみんなに酷いこと言っちゃったなって後悔してるのに。
夢なら早く覚めて。
夢だとわかっているのに
私の願望がただ反映されただけかもしれないのに
その言葉は何故か私の心にすうっ、と入ってきた。
ごめんみんな、辛く当たっちゃって。
早く覚めたい
みんなに、会いたい。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!