自己紹介をしてしばらく経った頃
みかさくんがトイレといって
席を外したためその隙に
ころんくんに責めよった
言い返せもしない回答が
きたためぐぬぬ … と
急いでリップなどを塗り直していると
他の男達がおそるおそると声をかける
初めてころんくんがそう口に
した時私は意味がわからなかった
ころんくんの事務所 …
つまりSTPRからデビューする
歌い手グループというのはこの
メンツ的に見ても必然的に男グループ
として考えているはず
正直に言ってその時は
" 嫌だ " という気持ち一択だった
アンチなんて目に見えてるし
私を入れたことによるメリットより
圧倒的にデメリットの方が上回るはず
そもそもあの事件で男に苦手意識を
持つようになった私はこの場にいる
だけでもお酒が進まないのに
グループなんてやっていけるはずがない
これを見てわかる通り私は
彼らに出会った当初はかなり強い
当たりをしてしまっていた
彼らが憎いわけでもないし
むしろ初対面なのだが無意識な
男性嫌いと " 女性を入れる " という
無謀な挑戦を人生かけてしようと
している彼らに少しもどかしさを
感じていたのかも知れない
─── 昔の自分を見ている気分だったから
ころんくんから言われたその一言は
自分の胸に強く突き刺さった
これまで数多くの活動者や
アイドル達を見てきたけど
芸能界というのは希望を持つだけで
やっていけるような世界ではない
それに見合った 実力 · メンタル
自己プロデュース力 · エンタメ性 …
更にはグループとなるとそれなりの
個性の調和やバランスも必要になる
まさに " 彼ら " は逸材だった
まだデビューして間もない卵達で
アイドルのアの字も知らないような子
だっているはずなのに既に足並みが
揃っているし 歌 · ラップ · ダンス
ゲーム · リーダー業 · ルックス …
一人一人の個性が光り輝いていたのだ
ころんくんの言う通り他に比べれば
十分に賭ける価値はあった
しかしだからこそ私が入るのは
あまりにも危険なことだった
本来なら成功するはずのグループを
私ひとつの存在でなくすのは
私の望むことではない
そして今でこそとても仲のいい
親友の1人である明雷らいとは
実は初対面の印象はお互い最悪で
打ち解け合うまではお互いを毛嫌いし
かなりギスギスした関係でもあった
それもあり私は到底この件を
受け入れることはないだろうと思い
勢いよく机にグラスをおいてから
颯爽とその店を出ていった
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。