第89話

88.
6,327
2021/02/05 16:11





今日、ちゃんと話そう


これからどうしていくか、


樹とどうゆう関係でいるか


はっきりさせない限り誰かを傷つけることになる


告白されたはずなのに


何故か私の心はスッキリしていた


オフィスに戻り席に着く


机の上にはいくつか新しい資料が増えている



北斗「休憩ながすぎじゃない?」

『そんなことないよ』

北斗「てか、俺のは?」



私の手にあるコップを見ながら言う


完全に忘れてた


まあ、ごめんってことで



『忘れてた』

北斗「嘘でしょ、」

『ごめんごめん』



悲しそうな顔をする北斗に


笑いながらそう返し


今日中にやらなければいけない仕事に手をかける


カタカタをキーボードを打つ横で


スマホに通知の知らせが来る



【しんたろ___今日もみんな行くよな??!】



どうやらまた夜ご飯の誘いらしい



北斗「こいつまたかよ」



北斗がそう呟いた後にまたスマホが振動する



【ジェシ__さんせー!!】



こいつら仕事中に何やってるんだ


恐ろしく返信の早いジェシーに


呆れながらもやっぱりこの感じが好きだ



北斗「どーする?行く?」



こんな時、決まって樹が出てくるようになった


樹がいるし、


今日は2人でゆっくりしたい



『いや、私いいや』

北斗「樹?」

『うん、まあ』



北斗の口から樹なんて言葉が出てきたことに驚きながらも


曖昧な返事をしておく


北斗の方は見なかった



北斗「じゃあ俺もやめとこうかなぁ」

『慎太郎怒るよ』

北斗「めんどくせぇ」

『本当は楽しみなくせに』

北斗「ちげぇよ!」



何故か強がるほくちゃんに


ケラケラと笑い返す



『じゃ、お先』

北斗「ん。」

『慎太郎にごめんって言っといて』

北斗「りょーかーい」



そんな北斗と別れオフィスを出た


相変わらずスマホの通知は騒がしい


でも嫌いじゃない


これじゃ北斗と同じだな


樹にどう伝えようか、


樹とどう話そうか、


腹をくくった時に限って不運は訪れる


待ってましたと言わんばかりの姿がそこにあった











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