だいぶ終わりに近づいてきた時
コーヒーの注がれたコップに
手を伸ばせば
隣ではすやすやと眠る樹
子供みたいな寝顔
ブランケットを取りに行き
そっと掛けておいた
先にベットで寝てればよかったのに、
1番最後の入力を終え
ぐで〜ん、と体を机の上に倒す
北斗「俺も終わった」
『ほんとにありがと』
北斗「いいよ、これぐらい」
軽くぺこりと頭を下げておいた
時計を見れば
もう日が変わりそうな時間にまでなっていた
『泊まってく?』
北斗「いいの?」
『もちろん』
今までもたまにあったことだ
てゆうか、2人とも最初からそのつもりだろう
北斗がお風呂に向かったのを確認して
隣で気持ちよさそうに眠る樹に
優しく声をかける
『樹、起きて。風邪ひく』
樹「ん〜、」
自分の腕の上で
頭をぐりぐりと擦る
あっちを向いたかと思えば
また私の方を向く
少し目が覚めたんだろう
ぼうっ、とした顔で私を見る樹
『ごめんね、急に呼んじゃって』
私の言葉に
何も言わずに目をそらす
少し拗ねてるのがすぐに分かる
樹「今日、一緒に寝れない?」
『なんで?』
樹「いいから」
無茶苦茶な彼の言葉に
混乱していれば
樹「やっぱなんでもねぇわ。おやすみ」
それだけ言って
ブランケットをもって寝室へ行ってしまった
それから北斗がお風呂から出てきて
布団を2枚リビングに並べた
疲れたこともあり
2人とも一瞬で眠りについた
次の朝、
昨日の夜と1ミリも変わらない空気間のまま
樹に「行ってきます」とだけ言って
何事も無かったかのように
2人で会社のドアをくぐった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!