第18話

17.
9,759
2020/11/18 14:47





樹の知り合いかな、


なんて思っていたけど


近づいてくるうちにはっきりと見えた


ガタイのいい彼らの首には


樹と同じ鶯のマークが彫ってあった



「久しぶりだねぇ」



何かを企んでいるかのような口調で


のっそりと近づいてくる



『樹、』



隣にいる樹を見れば



樹「行こ」



それだけ言って


そのまま手を引っ張られ


男の人たちの横を通り過ぎる



「シカトしてんじゃねぇよ」



そんな声がしたかと思えば


一瞬のうちに鈍い音が響き


樹の呻く声が聞こえる



『樹っ、、!!』



よろける樹の口は切れていて


血が滲んでいる


ケラケラと笑う男の人たちを


見たことがないぐらい怖い顔で


睨みつける



樹「もう、抜けたんで、関わらないでください」

「抜けたって言ってもまだ残ってんだろ?」



そう言って


マフラーにかける手を振り払う



樹「俺言いましたよね?抜けるって」

「お前いつからそんな大口たたくようになった?」



そんな質問にただただ男の人の顔を睨みつける樹


「聞いてんだろ」なんて言って


叫びながら樹の胸ぐらを掴む



『やめてっ、、!!』

「は?誰お前?」

『お願い。やめて、』

「お願いしますだろ」



自分でもびっくりした


鶯の人相手に


女でも容赦なく殴り倒す


そんな当たり前のこと知っていたのに


気づいたら体が動いていた


振り上げられた腕に


奥歯をかみギュッと目を閉じる


それと同時にまた鈍い音が響く


それなのに私の体に痛みはなかった



樹「触んな」



そっと目を開けて見える樹の顔は


狼のようで


こんな顔初めて見た



樹「あなた」



そう言って私の手を取ると


黙ったまま街灯に照らされた道を歩く


私の手を握る手は


やけに力が強いような気がした















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