第10話

9.
10,456
2020/11/15 10:19





次に問題なのは寝る場所だ


まだ、傷だらけの樹に


ソファーで寝ろ。なんて言うのには


さすがに抵抗があった



『樹、ベット使っていいよ』



そう言ってソファーの上のブランケットを取り


ソファーに寝転がろうとすれば



樹「だめ」



なんて言って


私の手を引っ張りベットへ連れてく



樹「俺があっちで寝る」



それだけ言うとソファーに座り寝転がる


どうしようか、


なんて考えた結果。



『嫌じゃなかったらさ、一緒に寝る?』



今日の私はとことんおかしいみたいだ


ソファーから勢いよく顔を出すと


力強く頷く樹


可愛いとこもあるん、だな



『ちょっと狭いけど、いい?』



次は2回きちんと頷く


そっとベットの中に入り


お互い外側を向いて横になる


電気を消せば


しん、と静かになる寝室


掛け時計の秒針の音だけが


やけに大きく響く


どれだけ経っただろう


ちゃんと話そうとしてたことを


今、思い出してしまった



『樹、寝た?』



小さい声でそう聞けば



樹「寝てない」



と返ってくる



『ちょっとだけ話そっか』

樹「なにを」

『樹のこと、』



次の言葉をゆっくりと待った


少しずつ、


それが私の中で決めたことだったから



樹「笑わない?」

『笑わないよ』

樹「嫌いにならない?」

『ならないよ』

樹「絶対?」

『うん。絶対。約束する。』



「わかった」と答える樹の声に


そっと耳を傾けた


どんな話でも全部受け止めよう


約束は守るためにあることを


きちんと分かっていたから



















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