第92話

91.
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2021/02/08 15:24





『え、、?』



余計なことはなるべくスルーしようとしてたけど


聞き逃せなかった



『どうゆうことですかっ、、!』



言ってる意味が理解できず


焦る私に冷静な彼女



「だーかーら!!樹のこと守りたかったら樹から離れろって言ってんの。」

『嫌だって言ったら、?』

「分かるでしょ?私たち鶯だよ?」



彼女の目を見て全てを悟った


きっと本気で言ってる


最悪樹が殺される場合だってある


無理だ。


絶対に嫌だ。


でも、離れたくない。


ここまで来たからには最後まで一緒にいたい


わがままでもなんでもいい


樹がいてくれればそれでいい


でも、そのわがままが樹の存在を危うくするのであれば


私の決断は直ぐに出る


そんなことに死んで欲しくない


例え、私じゃなくても


もっと優しくて親切な人が現れるはず


この世界はそんなに狭くない



「で?どっちにすんの?早くしないと樹が心配するんじゃない?」



時計に表示される数字は


既に日をまたいでいた



「難しいこと聞いてないんだけど」



人を貶す笑い方と喋り方は相変わらずだ



「大切な人なら守りたいよね、ね?」



さすが鶯だな、なんて


感心してる場合じゃないのに


頭が混乱しているせいでそんなことを考えてしまった


ごめん、樹


許して欲しい


少しの間だったけど


すごい濃くて驚くほど楽しい時間だった


おわりなんだなぁ、なんて思うだけで


視界が歪みそうだ



『樹には何もしないで下さい。』
 


きっぱりと言い切った言葉は


その場いた人全員を満足させた



「せいかーい!じゃあ、なるべく早く追い出して?」

『、はい』

「そしてもう二度と会わないで、近づかないで」



その言葉に小さく頷いた


自分が決めたんだ


自分から拾ったくせに


捨てることになるなんてな、


なんて言おう、


なんて言ったら納得してくれるだろう、


こんな軽い気持ちで決めちゃダメだったよな


でももう遅いんだ


何もかも。


気づけば外にいて家までの道を歩いていた











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