第44話

43.
7,550
2020/12/14 16:14





『だから私行かないって』

大我「だめ」

『なんで?!』

大我「あなたもいないと楽しくないもん」



そんな可愛い顔で


そんなこと言われたら


さすがの私も「わかった」と


言わざるを得なかった


結局、私が頑なに断り続けた結果


こんな大男たちを家に呼べば


樹が完全に怖がって


私から1ミリも離れようとしないのは


想像がついた


そのため、行きつけのお店に行くことになった


個室に通され


会社の食堂と同じ定位置で座る


「かんぱーい!!」


なんて言う6人の声と共に


グラスのぶつかる音が響いた


それから、勢いとその場のノリに任せて


お酒を次々に口の中に流し込んだ



北斗「お前そんな飲んで大丈夫なの?」

『大丈夫、大丈夫』



強い方ではあるんだけど


これだけ飲んだんだ


さすがに頭の回転が正常では無いのは


確かだった


慎太郎の意味のわからないコールと


ジェシーのバカでかい笑い声


いつにも増してカオスな状況に


酔いを理由にして騒ぎまくった



慎太郎「てかさー。俺その人に会ってみたいんだけど」

優吾「あー。俺も会いたい」

ジェシー「やっぱ今から皆であなたの家行こうぜ」

『それはだめ』



お酒が入っていても


キッパリとそう言った



『怖がるから、だめなの』

大我「えー。なんでぇ俺仲良くなりたい」

『ならなくていいよ』

優吾「なに、その独占欲みたいなの」



面白そうに笑うこーちに


「そんなんじゃないよ」と返す



ジェシー「じゃあ、どう見てんの?あなたは」

慎太郎「そこだよね。だって俺らと同じぐらいなんでしょ?」

『うん』

大我「同じ場所で暮らしてて何も無いはさすがにないでしょ」

『いや、ほんとに何も無いんだって』



急に私の嫌いな話になるから


深くならないように話題をそらす


みんなが言いたいこともわかるけど


そうじゃないのも確かなんだ


何も知らないくせに


ただ、今の距離感が幸せだから


それを保ちたいだけ


それ以上にもそれ以下にも


ならないし、


なる気もなかった



ジェシー「でも、今のまま続けてたら、絶対に、いつか何も無いじゃなくなるよ」



いつもとは違って


少し真剣な顔で言うジェシーに



『わかってるよ、』



と少し拗ねたように返して


その後も浴びるようにお酒に飲んだ












プリ小説オーディオドラマ