第28話

27.
8,737
2020/11/28 22:41





樹がお風呂に入っている間


北斗から受けとった広告を見つめる


こんな選択肢を取るつもりは無かったのに


捨てていないってことは


頭のどこかにその可能性もあるから



『はぁぁ』



机に突っ伏して考え込む


いくら考えても分からない


正解の出ない問いに正解を求めて


馬鹿だなぁ


なんて思いながらポカポカと自分の頭を叩く



「あなた、?」



急いで顔を上げて声のした方を見れば


濡れた髪を拭きながら立っている樹



『どーした、?』

樹「服、なかったから」

『あ、ごめん。もしかして呼んでた?』

樹「うん」

『ごめんごめん、気づかなかった』



そう言って


急いで広告を折りたたみ


ポケットにしまった


そして、樹のパジャマを取りに行くのと同時に


隣の引き出しにバレないようしまう



『はい、ごめんね』

樹「ん、大丈夫」



それに着替えれば


相変わらず細身の彼には


ぶかぶかだった


そんな樹を見てクスッと笑い


また、机に戻ろうとすれば


ぎゅっと腕を掴まれる



『どーした?』



そう聞きながら彼を見れば


真剣な顔と目が合い


一瞬の間に抱き寄せられる



『だから、何って』

樹「なんかあった?」

『えっ?』



そっと身体を離すと


背の高い彼が私を見る



樹「なんで元気ないの」

『色々あるの』



なんて返す私に


少し納得いかなそうな顔をする



『寝よっか』



会話を強制的に止めるかのように


そう言い放ち寝室に向かった


2人で寝るベットの中は


1人の時よりも少し暖かい



樹「あなた、」



真っ暗闇の中


彼の声が私を呼ぶ



『なに?』

樹「俺、ずっとここにいたい」



そんな言葉、今言われたら


戸惑ってしまう



樹「いや?」

『嫌じゃないよ』



咄嗟にそう返してしまった


そして、少しだけ答えがわかった気がした


2人のことだ。


2人が望んだ結果が答えなんだろう


そっとくっつく肩は


もう少しこのままでも


いいような気がした

































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