第37話

36.
7,881
2020/12/08 14:49





肩だけが触れ合うベットの中


つまらない天井を


ぼーっと見つめる


逆に樹はどう思ってるんだろう


私たちの関係を


どんな距離感で


どんな接し方で


どんな関係だと思っているんだろう



『ねぇ、樹』



ボソッと


寝ているか起きているかも


分からない樹に問いかければ



樹「なに」



と返ってくる



『私たちさ、どうゆう関係なんだろうね』



そんな曖昧なつぶやきに


少し沈黙が続いたあと



樹「知らない」



と、ぶっきらぼうな答えが返ってくる


面白くなってクスクスと笑えば


隣の彼もつられて笑う


触れている肩がなんだか楽しそうだ



樹「なんで?」

『今日ね、帰り聞かれたの』

樹「ん?」

『あいつとどんな関係なのかって』



私の声と共に


彼の笑い声が止まる


あーあ、


暗くなるのは好きじゃないんだけどなぁ



樹「もしかしてさ、それって」

『うん、鶯の人達だったよ』



隣から大きなため息が聞こえ


そっと私の体に


腕を絡める



樹「なんですぐ言わねぇの?」

『樹、心配するかなって』



呆れたようにため息を吐き


包み込むように抱きしめる



樹「今度から絶対言えよ」

『怒らないでよ』

樹「心配なの」

『ありがとね』



彼の不意な優しさに


溺れていれば



樹「何言われたの?」



なんて言う声が聞こえる



『どんな関係かって、』

樹「それだけ?」



それだけでは無い


捨てておけ


あいつだけはとか、


本当は良い奴だとか、


睨みつけながら言われた言葉が


頭の中で再生される



『うん、それだけ』



さらっと、嘘をつき


彼のからだを離す



樹「あぁ〜、ダメだ。俺寝れねーわ」

『なんでよ』



面白そうに笑う私を見て


難しそうな顔をしながらも


ふふっ、と頬を緩ませる


真冬の夜なのに


彼の密かな優しさのせいで


どこかポカポカと暖かかった
















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