第54話

53.
7,427
2020/12/24 14:57






「じゃ、遊ぼっか」



にやっと笑ったあと


ぐいっと体が近づく


態度はこんなんでも


体は完全に怯えきっていた



「なに?怖いの?」



私を囲む巨体たちは


そう言った後


楽しそう顔を見合わせて笑う


きっと今日は汚れて


家に帰るのだろう


樹が心配してる


早く帰らなきゃ、


そんなことわかってるのに


恐怖で体が動かない



「大丈夫だよー、僕達怖くないからねぇ」

「あははっそんな怖がんなよ、少し遊ぶだけだろ?」



さっきから変わらない顔は


私に恐怖を与え続けるだけ


今から起きることを


予想してはブルブルと体が震える


いやだ、


帰りたい、


ばかだな、


いつもは素っ気なく引き剥がすのに


今は、樹のハグがたまらなく恋しい



「こいつ、よく見たら可愛い顔してますね」

「そーだな、」

「さすが樹の女だな」

「あいつモテるからなー」



そんなたわいもない会話の中


誰からにします、?


なんて声が聞こえてくる



『、、ねがい、、めて、』

「え?なに?」



視界がゆがみ始める中


必死に訴えた



『おねがい、やめてっ、』



だけど、こんな言葉


これが日常な彼らにとって


届くはずもなく


ただただ彼らの興奮を煽るだけだった



「え、?なに?やめて欲しい?」



彼の目からは


決して目をそらさずに


ゆっくりと、小さく頷いた


そんな私に大声を出して笑う



「やめませーん!」



また大きくなる笑い声


胸糞が悪い


こんな人間生きている価値などあるのか


死んでもいい人間とは


今、目の前にいる人では無いのか


後ろからがっちりと体を捕まれ


前からは楽しそうな汚い顔が


近づいてくる


ぎゅっと、これでもかという程に


目を強く閉じるのと同時に


涙が頬を伝ったのがわかった











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