第102話

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2021/02/20 16:03





神様はたまに意地悪をする


なんの前触れもなく


そんな私たちを見て笑ってる


そんなの知ってる。


知ってるけど、


今じゃなくてもいいじゃん


相変わらず悪趣味な神様で、


今頃楽しんでくれてるかな、。


ゆっくりと冷蔵庫を閉じる



『北斗来たの?』

樹「うん」

『なんか言ってた、?』

樹「ちゃんと食べさせとけって」



ずっと会話のペースを掴んでおきたかった


樹に何も言って欲しくなかった



樹「あなたさ、嘘ついてるでしょ、」



どうしてこんなふうになるかな


予定と違いすぎる展開に


頭が追いついていかない



樹「北斗から聞いた」

『樹っ、違う、』

樹「なにが?」

『ちゃんと話す、だからっ、』



誤解を解くことが第一だった


でも、会話をペースは完全に樹に取られていた



樹「仕事とか嘘なんだろ?北斗に聞かれた。あなたは?って、。仕事ですって答えたら、もう帰ってるけどって、」




今からどんな言い訳をしても無駄なんだろう


二人の間にでき始めていたヒビが


突如割れる音がした



樹「なんで嘘ついてたの?」



言うって決めてたのに


こんな状況で鶯の名前は出せなかった



樹「なんか言えよ、」

『ごめん、』

樹「ごめんじゃなくてさぁ、」



逃げるようにして背を向ける私の


腕を掴む樹



樹「なんでなんも言わねぇの?」

『離して、』

樹「来て」

『樹っ、!!!』



樹の手を振り払う


ちゃんと話そうとしてくれてるのに


これ以上はもう無理だった


自分が壊れる


そんなんだったらもういっその事


突き放そう


どんな方法でもいい


終わらせよう。



『出てって、。』



絞り出した声は


涙とともに


深夜の部屋の中にこぼれ落ちた












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