おなじみのお化け登場シーンでは
2人で仲良く体を震わせ
2人で仲良く驚いてしまった
なんだかおかしくなって笑い合う
怖がる私を楽しむ樹も
平気そうな顔をして結構ビビってる
結局2人ともそんなに得意じゃない
じゃあなんでホラー映画なんて見てるんだろう
そんな疑問にかられながらも
気づけば映画が終わっていた
樹「結構怖かったな」
『怖いんじゃん』
樹「あ、やっぱ嘘」
『無理がある』
私の返しに満足そうに笑い
後ろから倒れ込むように抱きつく樹
それと同時に
空になったコップを持って立ち上がった
『もう寝よ』
樹「、、、」
『樹?』
樹「あ、うん」
気付かないふりをして食器を洗い
水の音で誤魔化し通した
これでいいんだ。
そう思ったのもつかの間
「2本目は?」
なんて言って楽しそうに笑う樹が
また後ろからくっつく
『見るわけないでしょ』
笑いながらそう返して
そう返しながら腕を解いた
これがあっている。
タオルで手を拭いて
散らかった机の上をささっと片付けた
片付けが終わり
あとは寝室へ向かおうと
そのままドアに手をかけた
『樹、?寝よ』
キッチンで立ち尽くしたままの樹に
そう声をかける
樹「、うん」
それだけ言ってリビングを出る
バチ、という音ともに
さっきまでの光景がうそのように
部屋が真っ暗になる
寝室へ行っていつも通りベットへ寝転ぶ
ここまでするのはさすがに不自然だと思い
背を向けるだけにした
抱きしめられながら背を向けるなんて
これまでなかった
樹「あなた、」
そんな彼の声に
なに、とだけ反応した
樹「なんでそっち向くの、」
そんな問い掛けにわざと答えなかった
程よい間を作ったあと
『おやすみ』
と言って強制的に今日を終わらせた
その後抱きしめる力が少し強くなったのは気のせいだ
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。