第86話

85.
6,367
2021/01/30 17:14





おなじみのお化け登場シーンでは


2人で仲良く体を震わせ


2人で仲良く驚いてしまった


なんだかおかしくなって笑い合う


怖がる私を楽しむ樹も


平気そうな顔をして結構ビビってる


結局2人ともそんなに得意じゃない


じゃあなんでホラー映画なんて見てるんだろう


そんな疑問にかられながらも


気づけば映画が終わっていた



樹「結構怖かったな」

『怖いんじゃん』

樹「あ、やっぱ嘘」

『無理がある』



私の返しに満足そうに笑い


後ろから倒れ込むように抱きつく樹


それと同時に


空になったコップを持って立ち上がった



『もう寝よ』

樹「、、、」

『樹?』

樹「あ、うん」



気付かないふりをして食器を洗い


水の音で誤魔化し通した


これでいいんだ。


そう思ったのもつかの間



「2本目は?」



なんて言って楽しそうに笑う樹が


また後ろからくっつく



『見るわけないでしょ』



笑いながらそう返して


そう返しながら腕を解いた


これがあっている。


タオルで手を拭いて


散らかった机の上をささっと片付けた


片付けが終わり


あとは寝室へ向かおうと


そのままドアに手をかけた



『樹、?寝よ』



キッチンで立ち尽くしたままの樹に


そう声をかける



樹「、うん」



それだけ言ってリビングを出る


バチ、という音ともに


さっきまでの光景がうそのように


部屋が真っ暗になる


寝室へ行っていつも通りベットへ寝転ぶ


ここまでするのはさすがに不自然だと思い


背を向けるだけにした


抱きしめられながら背を向けるなんて


これまでなかった



樹「あなた、」



そんな彼の声に


なに、とだけ反応した



樹「なんでそっち向くの、」



そんな問い掛けにわざと答えなかった


程よい間を作ったあと



『おやすみ』



と言って強制的に今日を終わらせた


その後抱きしめる力が少し強くなったのは気のせいだ















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