第29話

XXの真偽 ⅩⅠ
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2020/03/31 15:17
つじ 林太郎りんたろう
お待たせしましたぁ~!
千島ちしま 瑞樹みずき
お、来たな。
グラムハイツ近くの有料駐車場に収集をかけて約一分。
辻君が到着と同時に笑顔でこちらに手を振る。

酒葉さんとはもう既に合流して、俺たちが雑談をしていた所だった。
酒葉さかば みのり
おー!これで無事三人とも合流ですね!これからどうします?
つじ 林太郎りんたろう
やっぱりここは派手に攻撃しましょうよ~!
酒葉さかば みのり
爆弾とか?
つじ 林太郎りんたろう
ほら、あれだよ。拓先輩みたいに建物をどーん!って!
両手を大きく開いて、規模の大きさを表そうとする辻君。
‥‥‥何歳だよ、この人。
千島ちしま 瑞樹みずき
少しなら酒葉さんができるかもしれないけど、俺らってあまり攻撃型じゃないからむやみに突っ込むのはよくないよ。
俺がそう言うと、二人は確かに~!と陽気に笑った。
こんなワイワイしてて敵チームに見つからないのかな‥‥‥見つかったら最悪。
つじ 林太郎りんたろう
じゃあ奇襲‥‥‥あ、それも“突っ込む”に入るのか‥‥‥?まぁいっか。
真面目に考えなさい。
酒葉さかば みのり
だったら罠にハメるとか~‥‥‥‥
酒葉さんはそう言いかけて、そのまま固まる。
酒葉さんの目線は遠くの空にあった。
千島ちしま 瑞樹みずき
‥‥どうしたの?酒葉さん。
酒葉さかば みのり
あ‥‥‥いや、今恐らく葉月先輩にワイワイしてる所見られたなぁーと‥‥‥
酒葉さんは「ついでに慎先輩の叫び声が聞こえました」と言って空に眼を細めた。
つじ 林太郎りんたろう
え~?全然気づかなかったけど‥‥目、良いんだね~!
酒葉さかば みのり
はい!ぴったり両目2.0です!
千島ちしま 瑞樹みずき
危機感ないのかな二人は‥‥‥
呉さんに場所を知られた事実を聞いた瞬間、俺は物凄く焦った。
けれど、その焦りはこの二人に向ける呆れに押し潰されつつあるのです。

画面向こうに慎と龍がいないってのが救いだよな‥‥‥いたら絶対に大爆笑されている。
つじ 林太郎りんたろう
いやぁ、参りましたね瑞樹先輩。どーします?
酒葉さかば みのり
どーします?
千島ちしま 瑞樹みずき
俺に丸投げですかはい。
確かにこの二人に判断を任せるのはちょっとなぁとかは思うけど‥‥‥別にリーダー制とかないし、俺はあまり司令塔とか向いてないからなぁ‥‥‥
千島ちしま 瑞樹みずき
‥‥‥とりあえずここから近いゆうらぎ公園に行ったらどうかな。酒葉さんの能力である植物操作が最大限使用できそうなのそこくらいだし、隠れる場所もある。
酒葉さかば みのり
おぉ!じゃあそうしましょう!!
つじ 林太郎りんたろう
僕も賛成で~す!
思ったよりも素直に俺の意見を承認してくれたので、少し驚く。
しかも即答、という形だったのでよく考えてないんじゃ‥‥と思った。
千島ちしま 瑞樹みずき
後から「あーすれば良かった」ってなったらごめん。
酒葉さかば みのり
私もこれが最善だと思うので大丈夫ですよ!
つじ 林太郎りんたろう
ほら、そうと決まったら早く行きましょうよ~!
辻君はそう言って、俺の手を掴んで走り出す。
千島ちしま 瑞樹みずき
え、ちょ‥‥‥
合流の時といい、今といい、辻君は相当な行動派らしい。
酒葉さかば みのり
レッツゴー!
今度は酒葉さんも俺のもう片方の手を掴んで一緒に走った。
‥‥行動派は酒葉さんも同じだな。
千島ちしま 瑞樹みずき
行く。行くから手離して。走りにくい。あと辻君、さっきから俺の体力奪い続けるのやめてくれない?
つじ 林太郎りんたろう
え~!!バレてたんですか!
千島ちしま 瑞樹みずき
バレてなかったら無効化能力使われないでしょうが‥‥‥
つじ 林太郎りんたろう
確かに~!
辻君が能力を玩具のように使うことは変わりなく、相変わらず元気な笑顔で俺に笑いかける。

辻君は行動派で元気な子だ。けれどそれは、決して猪突猛進タイプというわけではない。
そもそも俺は辻君の“本気”という顔を見たことがない。

つまり、だ。

もし慎たちと闘い始めたとして、辻君は本気で勝とうとしてくれるのか。
今みたいにずっとヘラヘラしているんじゃないのか。

それが、少し俺の中で心配事となった。

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