第20話

XXの開花 ⅩⅩⅣ
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2020/02/29 04:54
くれ 葉月はづき
えっと‥‥次は私か!
酒葉さかば みのり
私ですね!
二人は同時に立ち上がると、目を丸くして互いの顔を見あった。
くれ 葉月はづき
え、えーと‥‥実ちゃん、次?
酒葉さかば みのり
はい!
元気な酒葉さんの声に、呉さんは肩を落とす。
まぁ、同じ高校だとやりにくいよな‥‥
酒葉さかば みのり
フィールド、行きましょ?
くれ 葉月はづき
う、うん‥‥‥
酒葉さんに促されて歩き出す呉さん。
俺はそんな呉さんの腕を掴んで引き止めた。
くれ 葉月はづき
ん?瑞樹君、どうしたの?
不思議そうに振り向く呉さんに、俺は笑って一言だけ告げる。
千島ちしま 瑞樹みずき
頑張って。
俺の言葉を聞いて、呉さんは嬉しそうに笑った。
くれ 葉月はづき
うん、頑張るよ!
呉さんの笑顔を見て、俺は手を離す。
そして呉さんが向かうフィールドへと視線を移した。
千島ちしま 瑞樹みずき
あれ‥‥?
フィールドにはさっきまでいなかった捺祢が立っていた。
捺祢は慎をかついでどこかへ行ったから‥‥もしかして‥‥!
楠木くすのき しん
よっ、瑞樹。
千島ちしま 瑞樹みずき
慎!!
誰かが俺の肩に手を置いたかと思えば、そこには怪我一つない慎が立っていた。
本能寺ほんのうじ 千早ちはや
随分と早かったね。
楠木くすのき しん
まあな‥‥気付いたら全部治ってただけだけど。
慎は苦笑しながら俺の隣に座る。
四月一日わたぬき 柊也とうや
捺祢あの人に治癒能力でもあるんでしょうか?
楠木くすのき しん
さあな。龍と同じ能力なのかは分からんけど治癒能力はあるんじゃね?
慎はいつも通りの様子なので、きっと捺祢は慎に悪いことはしなかったのだろう。
さっきの重症の慎を思い出すと今でもヒヤッとするが、元気そうで安心した。
福冨ふくとみ 一霖いちりん
どうだろうね‥‥‥
一霖も安心したのか、微笑みを浮かべている。
深海ふかみ みぞれ
あっ‥‥始まりますよ。
深海先輩の声で、俺らはフィールドに視線を戻した。

呉さんは身体強化。
酒葉さんは植物操作。
この戦い、どうなるか全く予想が付かないけど‥‥‥
音羽おとは 捺祢なつね
第十五試合、酒葉実 対 呉葉月。
音羽おとは 捺祢なつね
‥‥‥試合開始。
始めの合図がおりると、フィールドに立つ二人は少し身構えた。
酒葉さかば みのり
え、えーっと‥‥い、今から攻撃しますよ!
くれ 葉月はづき
えっ、あっ、はい!どうぞ!
酒葉さんは攻撃開始を呉さんに伝える。
呉さんは酒葉さんの攻撃に向けて構えているようだが‥‥‥
本能寺ほんのうじ 千早ちはや
‥‥‥相手に不意討ちかけられる可能性を自分で消してどうすんの。
千島ちしま 瑞樹みずき
俺に言わないでくれ。
気に食わない、という顔をする千早を横目に、俺は二人の闘いを見つめる。

酒葉さんが植物を地面から出し、呉さんに向かって触手のような茎を伸ばす。
呉さんは身体強化で素早くその場から逃げ、攻撃を回避する。
くれ 葉月はづき
じ、じゃあ今度は私がいくね!
酒葉さかば みのり
はい!どんと来いです!
今度は呉さんが攻撃の合図をする。
‥‥‥千早はさっきより不満そうだ。

攻撃の合図をした呉さんは、酒葉さんに殴りにかかる。
酒葉さんは植物をバリアとして使い、それを止めた。
四月一日わたぬき 柊也とうや
これじゃあ練習試合にもなりませんね‥‥‥
そう言って苦笑いする四月一日君。
確かにそうだ。この様子だと一向に終わらない。

酒葉さんが攻撃をし、それを呉さんは避ける。
そして呉さんが攻撃をし、それを酒葉さんが止める。

攻撃の合図を送っているようだと、こんなの無限ループだ。
深海ふかみ みぞれ
相手をなるべく怪我させたくないのは分かるのですが‥‥‥これでは互いの体力が消費されるだけです。
深海先輩の言葉に、俺たちは大きな溜息を吐いた。

‥‥‥何か良い方法でもないかな。
そう、心の中で思った。


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