わ、私はいいよ!なんて言おうとしたけど、怖くてやめた。そんなことを言ったら、私まで今立っている優位を奪われかねない。
だから、耐えて、まゆ。今の生贄はあなた。だから、あなたが耐えるしかないの。
そんなことを言って、愛梨の機嫌をとる。
帰り道、分かりきったことを、愛梨に聞いた。
そんなこと思ってもない。まゆは私の小学校の時からの親友だもん。
でも、そんなの言えない。私は、高校生活を無事に過ごすために、ずっと愛梨に隠れて生きていくから。
愛梨は、私が同調したことで気分が良くなったらしく、お土産の紅茶の茶葉をもうひと袋くれて別れた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。