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第1話

学校の図書館
17
2019/05/26 08:13
目の前にいる紗来君が、ノートの上に走らせていたペンを止める。
紗来
紗来
なぁ、今さ鍵けかかる音しなかったか?
未夢
未夢
えっ?気のせいだよ!きっと
紗来
紗来
そうか?
未夢
未夢
う、うん
紗来
紗来
気になるから、確認してくる。
未夢
未夢
わ、分かった。
そう言って紗来君はドアの前に行き、鍵がかかっているのかを確認していた。
紗来
紗来
……。やっぱり閉まってる。
未夢
未夢
ええー!?
紗来
紗来
どうスっかなー。
未夢
未夢
そ、そうだ!スマホ!先生に連絡すればきっと大丈夫だよ!
紗来
紗来
んー。でも俺の充電ねぇし
紗来
紗来
未夢のは?
未夢
未夢
わ、私のはき、教室に置いてきちゃいました。
紗来
紗来
まじかよ笑相変わらず昔からおっちょこちょいだな
未夢
未夢
む、昔からって何よ!
紗来君だって昔から私のこといじめるじゃない!
紗来
紗来
ぷふっ やっといつものマヌケな顔に戻ったな。
未夢
未夢
間抜けって何よー!
紗来君はいつもこうして私を笑わせてくれる、
けどいつも意地悪で、私のことをしょっちゅういじめてくる。
でも、思いやりがあって優しい紗来君はいつもモテモテで、私が入る隙間もないくらいだった。
でも私は紗来君がずっと前から好きだった。
紗来
紗来
さーてと、どうすっかなー?
未夢
未夢
ま、窓から飛び降りる?
紗来
紗来
そんなことしたらすぐに上行きだぞ?
馬鹿か?バーカ
未夢
未夢
う、うるさいわね!紗来君こそ何か案ないの?
紗来
紗来
ここにある分厚い本でドアの硝子割る。
未夢
未夢
それしちゃったら怒られるよー!
紗来
紗来
閉じ込めた奴が悪い。
未夢
未夢
でも、どうするの?もうすぐ暗くなってきちゃうよ?
紗来
紗来
ここの図書館電気壊れてるからなー、
電気ないからますますやばいな
未夢
未夢
オバケでたらどうしよう!
紗来
紗来
はははっ相変わらず怖がりだなあ
未夢
未夢
こ、怖いなんてそんな……。
……やっぱり怖い…です。
紗来
紗来
なんか寒いし、どうしようかねー。
未夢
未夢
あっ!私ブランケット持ってるよ?
使いなよ!
紗来
紗来
そしたらお前が風邪ひくだろ?
未夢
未夢
でも寒いでしょ?
紗来
紗来
……。じゃあそれ、ちょっと貸せ
紗来君がいきなり私の持っていたブランケットを取り上げた。
未夢
未夢
え?わっ!
頭からいきなり何かをかけられたと思い、目を開けると、目の前に紗来君がいた。
紗来
紗来
二人で一緒に使うか。
未夢
未夢
え?い、いいよー!
私寒くないし!
紗来
紗来
でも顔赤い
未夢
未夢
そ、それは……。
(目の前に紗来君の顔!近いよぉー!)
紗来
紗来
このままじっとしてろ。
明日になれば、先生が来るだろうし。
未夢
未夢
え?う、うん
言われた通りにじっとしていると、
紗来君がいきなり抱きしめて来た。
未夢
未夢
うわっ!?な、なに!?
どうしたの!?
紗来
紗来
あのな未夢……。
未夢
未夢
は、はい!
私の腕の中にうずくまっている紗来君が話し出した。
紗来
紗来
俺、お前のこと好きだ
未夢
未夢
え? ちょっ冗談はダメだよ!
紗来
紗来
冗談じゃない。
今の状況から言うのもあれだけどな
未夢
未夢
え?
紗来
紗来
ずーと思ってた
紗来
紗来
未夢と付き合いたいって
顔をうずくめているから表情は分からない。
でも微かに見える紗来君の耳は赤かった
未夢
未夢
ほ、本当なの?
紗来
紗来
本当じゃなきゃ言わねーよ。
その一言で、体が熱くなった。
紗来
紗来
嫌か?
未夢
未夢
い、嫌じゃない!
とっても嬉しい!
ずっと前から好きだった人に告白されて、 
とっても嬉しい
次の日、朝になると先生方が図書館に私たちを助けに来てくれた。 昨日何が合ったのかは2人だけの秘密。
だから、誰にも言わない。
何度か連絡をやり取りしていくうちに、デートのお誘いも来るようになった。
私は今、とっても幸せです!

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