佐藤の周りを待っていた砂がスっと雪のように落ちた。
渡された剣を見ると傷がなくなり、新品のようになっていた。
佐藤は嬉しそうに鼻を高くしている。
俺は持った木刀を一振する。目の前に浮かんでいた葉を真っ二つにした。空気が切れるような感覚があり、そこから風が起こる。
佐藤の少しにやけた顔に少しウザさを感じた。
俺は刃先に触れる。以前は指が切れなかったのに今はすんなりと切れ、血が出るほど切れ味が良くなっている。
そんなことを話しているとすごい勢いでこちらに向かう足音が聞こえた。
全員が戦闘態勢に入ったがその必要はなかった。
すごい勢いで走ってくる今崎だった。
目の前まで今崎が来て直ぐに俺の指を手に取る
和田が今崎の頭を軽くチョップする。「いたっ、」と今崎が頭を抱える。
緑の光とともに俺の指の傷が消えた。
今崎はグッとポーズをする。
和田が向く先にはベランダに出た女王がいた。こちらをしばらく見ると中に入っていった。
今崎がしゅんとなる。
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次の日女王様から「個人的にお話がある」と俺だけが呼ばれた…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。