あいつらから言われたことがグルグルと頭を巡る。それをかき消すかのように俺はひたすら剣を振るう。
周りはもう暗くなっており、和田と今崎は寝ている。王国は眠りにつき、ただ星々が照らしている。俺は和田と今崎を起こさないようにこっそりと練習用の木刀をもって寮を抜け出してきた。
少し走ると中央広場に着く。ここは広いし素振りには十分だった。
俺は中央広場で思いっきり剣を振るう。
下唇を血が出ない程度に力強く噛む。
何回か王女は俺たちの練習を見に来たことがあるが、直ぐに無言で立ち去ってしまう。
少し力強く振るうと剣が手から離れ、飛んでいってしまった。
するとどこかに刺さった音が聞こえると同時に「きゃぁ!!?」という女性の声が聞こえた。
俺は直ぐに駆け出した。音のした方向に向かう。
そこには腰が抜けて立てないであろう魔女の格好をした女性が倒れ込んでいた。俺とこいつは幼なじみでもちろん仲がいい。
そう言うと彼女の目の前の壁に刺さった剣を抜く。
プンプン怒ってる顔をつまんでみる。
すぐに手を離し顔の横に移動させる
声が聞こえた上をむくと夜空の星々に紛れ、空に浮く和田がいた。
佐藤が和田のことを指さす。
和田は少し照れてるように見えたが夜の暗闇に紛れていたので勘違いかもしれない。
俺は手にした木刀を隅々まで見る。少しだけ傷が見える。
佐藤は「エッヘン!」と言わんばかりに胸を張っている。
錬金術はものとものとを合成させて作成するものだから、素材がないと成り立たない。
そういい、彼女は地面に落ちた木の枝を持った。
また和田が照れた。次は気のせいじゃないな。うん。
佐藤はとんとんと呪文を唱える。地面の土が舞い、魔法陣が生成される。舞った土は7色に変わり、佐藤の周りを包み込む。
その光景はまるで銀河を司る女神のようだった
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。