第22話

呼び出し
33
2023/03/23 00:13
女王に呼ばれたと使用人に聞いて俺は女王の待っている応接室の前に立たされた。
使用人は「少しお待ちください。」と言い、応接室の中に入った。
佐々木賢人
(まっじでどうしよう。えー、ちょ、俺絶対クビやんけ。女王の眠り妨げるとか。まじかよー。)
佐々木賢人
(…あいつらともお別れか)
そんなことを考えていると突然扉が開き「お待たせしました。どうぞお入りください。」と使用人が言った。
佐々木賢人
わ、分かった。
使用人からは小さい声で「佐々木様、あまり気にしないでください。」と言った。俺は優しく笑顔で「ありがとう。」小声で言った。
俺が1歩踏み出すとそこには女王が座っていた。まるで有名な肖像画からそのまま出てきたかのような振る舞い、美しさに目を奪われた。
佐々木賢人
王国騎士団長、佐々木賢人。ただいま到着しました。
俺は正しく立ち、はっきりと告げた。失礼のないように。
金澤 結
…。
女王は静かに手を椅子の方に向けた。
佐々木賢人
(座れってことでいいのか?)
俺は「ありがとうございます。」と礼をし、席に静かに座る。この静かな、ある意味息苦しい空気感は嫌いだ。
そのままお互い何も喋らず黙り続けた。外は雨が降っており、窓に雨が当たる音だけが響く。
佐々木賢人
お、俺何かしましたでしょうか…?
たまらず俺は声を発する。女王は静かに顔を上げた。
金澤 結
桐吹さん、外に出て。
女王が使用人に声をかけると使用人は逃げるように外に出た。俺がキョトンとしていると女王が話し始めた。
金澤 結
別に怒るわけではないわ。
オレはその言葉にびっくりした。まるで心を見透かされているようだ。
佐々木賢人
そ、そうですか。
金澤 結
あなた、いつも無理してるでしょ。
佐々木賢人
まるでなんのことか分からない。
金澤 結
いつも無理笑って
その言葉に顔がひきつる。
金澤 結
いつも心をからっぽにして笑って、
金澤 結
何が楽しいのよ…
俺は怒りそうになった。その言葉たちは本当に俺の心に突き刺さるようだったからだ。
俺がそれでも笑顔で黙っていると
金澤 結
まるで仮面少年ね…
金澤 結
仮面少年、あなたとは仲良くなれないわ。
佐々木賢人
…なんで仲良くしなきゃならないんですか。
俺は静かに怒りを出した。下手したらクビなのに。怒りが抑えられずズボンを強く握る。
金澤 結
…あなたのお友達が言ってたじゃない。「私と仲良くなれば王国専属の騎士になれる」って
俺は勢いよく立ち上がった。そのまま黙ってしばらく立ち続け、そのあとに「失礼します。」と言い扉に手をかけた。
金澤 結
待って。
俺は扉にかけた手を止める。振り向かないまま耳だけを傾ける。何故か聞かないといけないような気がして。
金澤 結
「責任に囚われるな。」
金澤 結
「周りにつられるな。」
金澤 結
「社会に囚われるな。」
金澤 結
「自分をより評価しろ。」
金澤 結
「自分を信じろ。」
金澤 結
「やりたいことをやれるようになれ。」
女王は大きく息を吸い、最後に言った。
金澤 結
私の言いたいことはそれだけだ。
オレは黙って扉を開けて部屋をあとにした。

プリ小説オーディオドラマ