女王に呼ばれたと使用人に聞いて俺は女王の待っている応接室の前に立たされた。
使用人は「少しお待ちください。」と言い、応接室の中に入った。
そんなことを考えていると突然扉が開き「お待たせしました。どうぞお入りください。」と使用人が言った。
使用人からは小さい声で「佐々木様、あまり気にしないでください。」と言った。俺は優しく笑顔で「ありがとう。」小声で言った。
俺が1歩踏み出すとそこには女王が座っていた。まるで有名な肖像画からそのまま出てきたかのような振る舞い、美しさに目を奪われた。
俺は正しく立ち、はっきりと告げた。失礼のないように。
女王は静かに手を椅子の方に向けた。
俺は「ありがとうございます。」と礼をし、席に静かに座る。この静かな、ある意味息苦しい空気感は嫌いだ。
そのままお互い何も喋らず黙り続けた。外は雨が降っており、窓に雨が当たる音だけが響く。
たまらず俺は声を発する。女王は静かに顔を上げた。
女王が使用人に声をかけると使用人は逃げるように外に出た。俺がキョトンとしていると女王が話し始めた。
オレはその言葉にびっくりした。まるで心を見透かされているようだ。
まるでなんのことか分からない。
その言葉に顔がひきつる。
俺は怒りそうになった。その言葉たちは本当に俺の心に突き刺さるようだったからだ。
俺がそれでも笑顔で黙っていると
俺は静かに怒りを出した。下手したらクビなのに。怒りが抑えられずズボンを強く握る。
俺は勢いよく立ち上がった。そのまま黙ってしばらく立ち続け、そのあとに「失礼します。」と言い扉に手をかけた。
俺は扉にかけた手を止める。振り向かないまま耳だけを傾ける。何故か聞かないといけないような気がして。
女王は大きく息を吸い、最後に言った。
オレは黙って扉を開けて部屋をあとにした。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。