第7話

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2019/04/11 10:03
テヒョンを見ることさえ辛くなって
廊下の椅子に座っていた。
ジミン
ジミン
あなた?
聞き覚えのある声。
ジミン
ジミン
テヒョンは?
今さっき、ジョングクから聞いて、
急いで来たんだけど……
大丈夫、あなた?
あなた
あなた
ジミナぁ……っ
抑えこんでいた涙と悲しみ、後悔が全部溢れだした。
ジミンが私の頭を撫でる。
ジミン
ジミン
頑張ったね。よく我慢したよ。
いっぱい泣きな。
優しい言葉をかけてくるジミンにいつも
甘えてしまう。
テヒョンの愛を失ってしまったことが
どんなに辛いか、ジミンはわかってくれている。
誰かのぬくもりがほしかった。
ジョングク
ジョングク
ジミナヒョン!
ジョングクがジミンを呼ぶ。
ジミン
ジミン
ごめん。ちょっと行ってくるね。
そう言って走っていった。
ジョングクがジミンに何かを話す。
ジミンは病室に入り、私の元へジョングクが来た。
ジョングク
ジョングク
テヒョニヒョンなんだけど、数とか言葉は覚えてるらしい。
人のこと、すっぱり忘れてるんだって…
あなた
あなた
…そっか。
ジョングク
ジョングク
頭の傷は縫ったし、骨折も複雑じゃないから。あとは精神面を見て、退院を考えるって。
あなた
あなた
わかった。ありがとう
ジョングク
ジョングク
今日はジミナヒョンの家に泊まりなよ
あなた
あなた
なんで…?
ジョングク
ジョングク
心配だから。
寂しいだろうしさ。
俺の家でもいいけど、きっとジミナヒョンのほうが落ち着きやすいでしょ?
ジミンが病室から顔を出す。
ジミン
ジミン
あなた、帰ろっか
あなた
あなた
……うん
私は最後に、ほんの少しだけテヒョンを見た。
すやすや寝ている。
記憶が戻ればいい。
そう願うばかりだ。
翌日。
ジミンとジョングクとお見舞いに行った。
しかし、テヒョンに会うのが怖くて
私だけ帰ってしまった。
ジミン
ジミン
このまま行かないつもり?
ジミンにそう言われた。
ジミン
ジミン
テヒョンはあの時のままだよ

ただ逃げてても、何も変わらない。
変えたいんだったら、会ってみたら?

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