第24話
24you
そう言って私に近付くジェヒョクと名乗る男。
その男が立ち上がると同時に蘇る、忌々しい日々
思わず叫んで突き飛ばせば、顔を歪めて離れる男
シーンと静まり返る部屋
やめろやめろやめろやめろ
落ち着け、私。
手の震えが止まらない
何故だろう
今までこんな事なかったのに。
あいつらに殴られようが、蹴られようが、何をされても体が震えることなんてなかったのに。
何がこんなに怖いのだろう
さっきジュンギュと名乗った男が叫ぶ
目の前を見れば、最初の方にぶっきらぼうに挨拶をしてきたハルトと名乗る男…
殴られる…!!!
ギユッッと目を瞑る
あぁそうか、私はこれが怖かったんだ
だった短い間だけど、直感で感じてた
この人達は、あいつらと違う…かもしれない、と
"危害は加えない"
ジェヒョクと名乗る男に言われた言葉
思いっきり怪しかったが、何故か、信用してもいい気がした
この人達は、私を殴らないかもしれない
私を鎖で繋いだりしないかもしれない
そう、感じていたんだと思う。
あぁ、これが嫌だったんだ
信用しかけた時に裏切られるのが、どうしようもなく怖かったんだ
.
.
…あれ?
恐る恐る目を開ける
耳元に届く、低くて優しい声。
殴ってない?なんで?なんで?
私はあんたの仲間を突き飛ばしたんだよ?
いつもみたいに怒鳴ってよ
いつもみたいに殴りなよ
なんで抱きしめるの?
なんでこんなに暖かいの?
あはは、と呑気に笑う
なんだか心臓が変な音をたて始める
耳元で優しく囁き、そのまま抱きしめながらポンポンと私の背中を叩く
そのリズムがどこか懐かしくて、すごく暖かい
なんでこんなに泣きたくなるんだろう
なんで彼らは…
私が欲しかった温もりを、今、与えてくれているのだろう