敦 side
ぶつかった音と
少女の髪が風に流される。
少女「・・・・・・・・・」
敦「あっ、大丈夫ですか!?」
少女「はい、異常ありません」
お気遣い有り難う御座います、と、其の儘一礼をして、其の場を去ってしまった。
太宰「敦君、お待たせ・・・」
敦「・・・」
太宰「おや?おやおやぁ?敦君もしかして~…」
何て茶化して来る太宰さんに
敦「ちっ、違いますよ!そんなのじゃないですからね!!」
と、誤魔化し文句を口にした。
少女「あ、っと…汚れてますよ、此処。」
そう言って、当たった所の何かを手巾で拭き取ると
少女「其の服、確り洗った方が佳いですよ」
何故か、不思議な助言をされた。
太宰「・・・、あの少女には近付かない方が佳い。」
そして、太宰さん迄不思議な事を言い出した
僕には、未だ其の意味を知らなかった。
暝 side
嗚呼、バレてしまった。
屹度隣の男には絶対バレてしまっただろう
暝「・・・排除、しなきゃ」
私達の敵は、皆、毒殺して差し上げなければ・・・。
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途切れた喋り方に、少し、違和感を感じたかもしれない。別に、感じたって何の雑作もないが。
あの隣に居た、太宰、だった。調べた情報に依ればだけれど…、彼の男は何処に…?
此の青年、まるで警戒心が無い。
本当に武装探偵社の社員か?
・・・・・・結局、ターゲットは現れなかったか。
又別の日に、他の子と奇襲をかける訳にもいかないし、どうしたものか。視覚からの感染なら出来るのだし、手っ取り早く済ませたい…。
ドサッ
ふわりと体が浮き、我が拠点へと帰った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!