私には
友達と呼べる人は1人もいない───────
かつてはいた、
いや、友達だと思っていたのは私だけで
本当は最初から
私に友達なんていなかったのかもしれない
簡単に"友達"っていう人は嫌い
"親友"なんてもってのほか
ずっと一緒、ずっと友達、そんな言葉
信じられない
それなのにアイツは───────
青木圭介は簡単に"友達"って
よりによって私に、私なんかに
"友達になろう"だなんて
一体彼は何を考えているんだろう?
私には全然理解が出来ない…
授業中、いつもは授業の事だけを考えて
他の事なんて考えもしなかった私が
青木圭介のせいで
心の中がモヤモヤする───────
何なんだろう?この感情は
落ち着かない
イライラする
何でこんなにも不安なんだろう?
私の事なんてほっておいて欲しい
1人でいたい1人が楽
誰も私の中に入って来ないで
でも、だけど、もしかしたら───────
頭上から急に声がして
ハッと我に返る
顔を上げると
そこにいたのは青木圭介
ここは3年1組
私のクラス
3年の教室になぜ1年の青木圭介が?
明らかに迷惑そうにしている私に
彼は気が付かないのだろうか?
あぁもう
面倒くさい…
あ、ちょっと言い過ぎたかな?
一瞬、顔色を曇らせた青木圭介に
胸の奥がチクリと痛む
彼は無表情でそう言うと
静かに教室を出て行ってしまった
傷付けちゃったかな?
言い過ぎた?
いや、でも私
本当に1人が良いし1人でいたいし
一緒にお昼ご飯だなんて
そんなの無理
何話していいかも分かんないし
話す事なんて何も無いし…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。