第2話

いらっしゃいませ
25
2020/12/13 00:49
千暁
千暁
どこにって…
私の店にだけど?
キト
キト
は?店?
千暁
千暁
そうよ。私はその店のオーナーなの。そしてここな辺にいる人達は全員従業員であり客よ
キト
キト
客であり…従業員?
千暁
千暁
えぇ、ここで働いてここで食べる。この島のレストランと言える店よ?
キト
キト
…どう考えてもbarなんだけど?
千暁
千暁
そりゃだいたいが大人ですから
千暁
千暁
私達のような子供は、だいたいが衰弱するか誰かしらの大人の奴隷になるのだからね
キト
キト
…つまり俺は千暁に拾われてラッキーだったと?
千暁
千暁
そういう事でしょうね
キト
キト
…それじゃあ、千暁さんのお店を見させて頂きましょうかね
千暁
千暁
えぇ、いらっしゃい
千暁
千暁
皆んな!新たなお客様よ。ご歓迎の準備を!
店員1
店員1
はい、千暁様。そしていらっしゃいませ。お客様
店員2
店員2
新たなお客様でございますね?いらっしゃいませ。アラクトテルバーへようこそ
キト
キト
…さっきの男とは考えられないくらい優しい対応なんだな
千暁
千暁
あの子は問題児、この子達はまだ行儀が良い方よ。私の秘書と執事の方がいい子よ?
キト
キト
秘書と執事?
千暁
千暁
エナミ、晴翔(はると)いらっしゃい
エナミ
エナミ
はい、千暁様。どうかなさいましたか?
晴翔
晴翔
千暁様、なにか悪質な輩がおありましたか?
千暁
千暁
違うわ、新人の紹介。この子はキト、仲良くしてやってね
エナミ
エナミ
ほう、見た所15歳くらいでしょうか
晴翔
晴翔
そして彼は赤と赤紫の髪色をしているのですね
キト
キト
!?どうして分かったんだ
千暁
千暁
彼らには私直々に洞察力を上げる訓練をしているからね。そう簡単になまっていては困るわ
エナミ
エナミ
本当に千暁様には感謝しておりますわ、私達のような者達を拾って仕事を与えてくださっているのですから
晴翔
晴翔
千暁様のご命令とあらば、どんな苦しい訓練であろうとこなしてみせます
キト
キト
…恐ろしい忠誠心だな
千暁
千暁
そうかしら?私は別に普通にしているだけど?
エナミ
エナミ
それで千暁様、キトさんにはどのような訓練を受けさせるのですか?
晴翔
晴翔
用意をしておきますので、なんなりとご命令を
キト
キト
いや、俺貴方達よりも年下だと思う、だから俺の事は呼び捨てで呼んでもらえると
エナミ
エナミ
そう。分かったわ、キト。それでは一応自己紹介をしておきましょう
私はエナミ、エナミ・リトネーノと申します。
晴翔
晴翔
僕は西条(さいじょう)晴翔だ。よろしくな、キト
キト
キト
あぁ、よろしくな。晴翔、エナミ
千暁
千暁
さて、自己紹介も終わった事だし、仕事を覚えて貰うためにもキトは私について来なさい
千暁
千暁
エナミと晴翔はそのまま従業員の指導を
晴翔
晴翔
はい、仰せのままに
エナミ
エナミ
分かりましたわ
千暁
千暁
それじゃあいらっしゃい
キト
キト
…あ、あぁ。分かった
千暁
千暁
ここは倉庫よ。ここは私と関係者以外は立ち入れないようにしているの
キト
キト
どうやって?
千暁
千暁
簡単な事よ、パズルを仕込んで噂を流しておくの
キト
キト
パズル?どういう事だ?
千暁
千暁
まず『噂』を流しておくの
キト
キト
噂?どんな噂だ?
千暁
千暁
倉庫のパスワードを間違えると矢が飛んでくる、というね
キト
キト
…怖いな
千暁
千暁
それでもしないと倉庫なんてただの建物だと思われるわ
千暁
千暁
上に立つものならば、意地と知恵がなければならないのよ。そうでなければ舐められるだけなのだから
キト
キト
…千暁お前ほんとにいくつだよ
千暁
千暁
あら?私はキトと1つ違いの16歳よ?
キト
キト
え、初耳なんだけど
千暁
千暁
言ってないからね
キト
キト
そういう事は言ってくれよ
千暁
千暁
言う必要性を感じないからいやね
キト
キト
ほんとさっぱりしてんな
千暁
千暁
そうかしら?でもね…
そうでもないと、この世界ではやっていけないのよ
キト
キト
千暁
千暁
この世界は理不尽。どうしたら生きていけるのか、それがどれだけ悲しい事であろうと、悔しい思いをしていようと、それがこの世界のルールなのだから
キト
キト
どれだけ苦しかろうと、それが生きるためだから…
千暁
千暁
そう、生きるとはそういう事。
生温い考えだけでは生きられない
千暁
千暁
…話が逸れたわね
そして一部の人達しか持っていない一つのピースを並べ替えてから開ければ…ほら開いた
キト
キト
…一回も盗みに入られた事はないのか?
千暁
千暁
1週間に一度変えているからね。たとえパズルを盗み出されていても鍵が変わるまで開けさせなければそれはもうただの鉄の塊よ
キト
キト
ほんと…おそろしく格が違う人しかいないんだな
キト
キト
千暁はどうしてそんなに頭がいいんだ?
千暁
千暁
…さぁ。私には分からないわ
千暁
千暁
よし、どこに何があるか教えるから1週間で覚えてね。キトにも鉄のピースを渡しておくから
キト
キト
…随分と今さっき会ったばかりの奴を信用するんだな
千暁
千暁
あら、貴方は裏切らないわ。
…いや、裏切れないという方があっているかしら
キト
キト
…何故そう思う?
千暁
千暁
…フフ。そんなに警戒しなくても、簡単よ。だって貴方は嘘が怖い程下手だし温室育ちだから盗みだって上手くない筈よ
キト
キト
俺が御曹司だった…と?
千暁
千暁
貴方の所作はとても綺麗よ?所作の先生に褒められる位には
千暁
千暁
だから任せるわね。貴方が私の期待を裏切る事はないのだから……ねぇ?
キト
キト
……分かった。
ま、千暁を裏切らばこの地で餓死する事しか残っていない
千暁
千暁
なら、貴方を倉庫の管理人としましょうか?
キト
キト
住み込みをご書房かな?
千暁
千暁
あら、よく分かったわね
キト
キト
そんな行き帰りの為に開け閉めしてたらいつしかボロが出る。鍵を落とすとかな
千暁
千暁
まぁでも、帰る家といっても私達にはそんな所ないのだけれど
キト
キト
…作ったりしないのか?
千暁
千暁
寝床とよべる代物があるだけよ
千暁
千暁
私が家を作ろうものならみーんな侵入してくるだろうし
千暁
千暁
だから、寝床は地下にあるのよ
キト
キト
…よく考えてんのな
千暁
千暁
まぁ幸いにもここは夕時から変わらない。日の光を見ようだなんて考える人なんていたらそれは馬鹿よ
キト
キト
人は日光に当たって目覚めるもんだと思うんだけど
千暁
千暁
あら、でも一定時間を越したら明かりが付くような仕組みにしてあるから、それで起きれるわよ?
キト
キト
なら、いいや
ここに住み込みで働くとするよ
千暁
千暁
交渉成立ね
キトの主な仕事は私達に頼まれた物を持ってくる事と、食品の管理よ
キト
キト
随分と少ないんだな
千暁
千暁
あら?barで働く方がよかったかしら?それとも寂しいだけなの?w
キト
キト
ばっ…!
……まぁでも、会いに行ってもいいだろ
千暁
千暁
えぇ、勿論
千暁
千暁
これからよろしくね
倉庫の管理人さん
キト
キト
…あぁ
よろしくな、経営者

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