「それでは始めっ!」
会場のみんなのスイッチが入る。
私もシャーペンを取って記入を始めた。
難しい…………でもまっちとみずっくんとのスクールライフのため!
気持ちが強すぎるのか、シャーペンの芯がバキッ、バキッと小さく音を立てて割れていった。
芯が出てこない?
私はシャーペンの軸を逆さに振る。
…………………何も出てこない。
どうしよぉぉぉぉぉぉこれじゃ書けねえぇぇえええ!芯割りすぎたぁぁぁぉぁぁ
綺麗な顔をした男の子が私に向かってシャーペンを突き出す。
綺麗な顔が忘れられないまま、私はその子にシャーペンを借りて入試を続けた。
入試が終わってすぐ、その子の背を追いかける。
走り去る後ろ姿が異様にカッコよかったのは、私が一目惚れしたからなのかもしれない。
七五三掛龍也くん……………か。
まっちの言葉にも動けず、七五三掛くんのシャーペンをギュッと握りしめた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!