第4話

決断
1,970
2021/07/04 04:37
まさか俺の幼馴染みが来るとは思ってなかった。
そしてつまんない日常も少しは楽しくなるといいな。
俺はそんな事を思いながら、湊と階段を降りていく。










なぜ、こんな気持ちになるのか。
普通は幼馴染みが来てもこれからが楽しみとか思わないのに………。
多分この気持ちは湊も一緒だと思う。
でも、一緒だったら……………




いやかも________







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僕は生まれた時は女の子として区別された。
でも、何かが違う。
幼稚園の頃から感じていた。
体は女の子。性格、顔、骨格は男の子。


お医者さん
お医者さん
____不定性です。



そう医者に告げられた。



僕は日毎に男性女性が変わるらしい。
でもどうしようもない。僕にはどうしようもないこと。
その後僕は入園して男の子として育てられた。
皆僕の本当を知らない。




唯一本当を教えたのが八神 麗央と神風 湊だった。
不定性とは教えなかったけど。
正直あの二人は不定性とか聞いてもそのころ幼稚園児だったから
分からないだろうと思った。






入園する前から髪をショートにしていたため、湊と麗央は男装していた事に気付いてなかったのかもしれない。






今日転入してきて早速なぜ男装しているのか聞かれたからだ。







あの頃を思い出す。



母の響く声
医者の困り果てる声は僕を余計不安にさせる
母
何か治す方法ないんですか!?
お医者さん
お医者さん
あるにはあるのですが、馬鹿にならない程のお金が……………。
榊 夏
榊 夏
………………。
榊 夏
榊 夏
もういいよお母さん。帰ろ
母
…………ッ。
分かったわ。帰りましょう。
母
あの、もういいです。
こちらでどうにかしますからっ!!






母は少し怒ってるように見えたが、
目に涙を溜めてる事が分かった。
母
夏……ごめんね。
榊 夏
榊 夏
なんでお母さんが謝るの?
別に私はどうでもいいよ。
榊 夏
榊 夏
これからどうする?何でもするよ
母
夏……無茶な事を言うかもなんだけど……。
榊 夏
榊 夏
何?お母さん
母
男の子のフリをしない?
榊 夏
榊 夏
……………。
榊 夏
榊 夏
お母さんの願いならやるよ。
僕はこれから男として生きていく決断をする。
コレが男装のスタートだった。

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