キーンコーンカーンコーン。
ここは田舎にある普通の中学校。
人数も少ないから俺のクラスは一つだけ。
しかもほとんどが保育園から一緒。
だけど、小学校で三年生までクラスが別だった。
ちなみに俺は二組。
四年生から合同になって中学校もそのままって感じだ。
だから男女の仲も比較的良くて平和だ。
そのせいもあって恋をあまりしないクラスだ。
そーゆー話題も出なければ話しもしない。
そんな普通の中学校のチャイムが今さっき鳴ったところだ。
日直が挨拶をした瞬間、椅子の音が教室中に響く。
そう、休み時間だからだ。
だけどあいつは音を立てずに本を読み出した。
蒼樹くんのことだ。
本を読んでいるのは当たり前のことで誰も話さないし気にしていない。
今、蒼樹くんに話しかけたのはクラスで一番うるさい厄介者、
ゴリラこと騒間だ。
でも蒼樹くんは無視。
理由は簡単、騒間はどうでもいいことしか話しかけてこない。
そのことを知っているからだ。
俺でも無視する。
蒼樹くんはそれでもページをめくるのをやめない。
あいつは気が散るのが早い。
蒼樹くんに無視されると誰にでも話しかけてる。
今回のターゲットはミキだった。
ミキは面白くてかるらーと意外に仲がいい男子だ。
そのまま騒間はミキの所へ行った。
そして俺は蒼樹くんの所へ。
蒼樹くんは俺が話しかけると本を持ちながら話してくれる。
最初は持ってても話が盛り上がるといつの間にかしまっている。
俺は蒼樹くんと仲がいい。
自分で言うのもあれだけど、多分一番だと思う。
蒼樹くんは一組で俺は二組だった。
何も繋がりはないのに、でも何故か仲良くなった。
蒼樹くんも俺のことをくん呼びで呼ぶ。
仲いいのに何で呼び捨てになれないのかは分からない。
ふたりの共通点はなんだろう…
ゲーム?読書?
どっちも俺は好きだけど、どうなんだろ。
部活も違う、家も遠い。
キーンコーンカーンコーン。
チャイムが鳴り響く。
三時間目始まりの合図。
三時間目は国語だ。
国語の先生は来るのが少し遅いからみんなはチャイムが鳴った後に席に座る。
俺は蒼樹くんの所から自分の席に戻る。
五分ほど経ってから先生が来た。
そして授業開始のあいさつをする。
俺のクラスは授業中の私語がとても多い。
特に騒間やかるらーがうるさい。
あと池河。
他の人も喋るけどこいつらが一番だ。
それに加え、国語の先生も雑談が大好きだ。
授業が終わる。
次は俺は蒼樹くんと同じように本を読み始めた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!