他の部活の友達に言いながら俺は帰った。
俺はみんなと違ってバス通学だ。
幼馴染の魁斗もバス通。
他にも夜空さんとかミキと池河とかあと水葉さん。
水葉さんって言うのは結構頭が良くてアニメが大好きな女子。
字が綺麗だったりクラスの中でも、所謂「美人」に入る見た目だ。
今日は部活が無い日。
家でゆっくり休める日だ。
だからゲームでも本でも漫画でも、何してもいい日だ。
さて、何しようかな。
まずは宿題を終わらせるだろ?
その後に本を少し読んでゲームしようかな。
いつの間にか隣には魁斗がいた。
笑いながら言った。
幼馴染で、昔はよく共に行動していた。
だけど年を重ねるごとにそれはあまり無くなった。
小学校に入ってクラスが別々になったからだろうか?
それとも、もっと気の合う友達を見つけてしまったのか。
今でも昔のように話したりするけど、
お互い、こういった日に家に遊びに行く訳でもない。
後ろを振り返ると、
ヒルと池河が手を振っていた。
俺たちは止まってふたりを待った。
ヒルは意外と折り紙などが好きだ。
理由は簡単、
授業が嫌だから暇つぶしに折り紙やチェス盤を作ったりする。
そんなヒルに魁斗は少し笑いながらつっこむ。
大体池河の話の始まりはこうだ。
池河はすぐに真顔になってつっこみをする。
何が出たのかは聞いてないけど、
自分に入らない所謂「雑魚キャラ」というものが出たらしい。
俺も結構ある。
言うのを忘れてたが、
このメンバーで話すのは登下校だけかもしれない。
所謂バス通組みたいな。
バス停に着く。
夜空さんは静かに宿題をしている。
水葉さんは読書。
俺らは引き続き喋る。
響介ってのはヒルと同じ部活のやつ。
言葉遣いとか荒いけど、
意外と優しくていいやつだ。
ドラマやマンガの不良みたいな感じ。
いつの間にかバスが着いていて、
俺らはそそくさと乗る。
後ろの席には池河とヒル。
俺の隣は魁斗。
思わずつっこむ。
踏夜くん。
ああ、早退したんだっけ。
確か風邪だった気がする。
俺は窓に肘をついて外を眺めた。
後ろと隣で喋っている。
声は聞こえるけど何を話してるかは理解出来なかった。
仲がいいんだか悪いんだか…
そんなにか?
俺も結構考えてるけどなぁ…
それからバスに揺られて数分、
俺が降りるバス停に魁斗と水葉さんなどが降りた。
俺と魁斗は歩いて五分の距離に家が並んでる。
俺はふたりで歩いて家に着いた。
その間、何を話してたのかも覚えてない。
ずっと考え事をしていた。
俺にはひとりの兄がいる。
龍樹だ。
高一の兄。確か、かるらーとかの兄のふたつ下。
俺と同じ部活で、まあまあモテてた。
龍樹はまだ帰ってきてないようで、
お母さんもお父さんもいない。
家には俺一人。
自分の部屋に行き、カバンを置く。
制服をハンガーにかけてベッドにダイブしてやった。
よしまずは宿題からだ。
ダイブしたのに俺はベッドから出た。
今日は数学と英語のプリント、国語の漢字練習、一日の記録と言う名の日記。
まず俺はプリント類を片付けることにした。
あれから数十分。
全ての宿題を終わらせたので再びベッドに本とダイブした。
寝転がりながら学校で借りた本を読んだ。
その本ってのはラノベ小説?の「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」という本。
これは池河とか踏夜くんとかがよく読む本だ。
読んでみたら面白くてハマった。
…そう言えば、
踏夜くん大丈夫かな?
あまり具合悪くて休むキャラでもないし。
だから風邪ってのは意外なものだ。
俺は開いた本を閉じた。
ゲームでガチャを回すことにした。
でも、池河のこと考えると回す気失せるなぁ…
そう思ってまた本を開いた。
通信制のゲームをしようと思ったけど、
踏夜くん出来ないだろうと思ってやらなかった。
次の日、踏夜くんはまた休んだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!