だるい。
そしていつもより暑い。
要するに風邪をひいた。
俺は今さっき早退して、車に乗ってる。
どうやら病院に向かってるらしい。
大きい病院だと思ってたのは町にある小さな病院だった。
家に比較的近い。
俺は薬を受け取り、お礼を言った。
はやく車に戻りたいのにお母さんが医者と何か話してる。
薬の話かと思ったらただの世間話。
俺ははやく帰りたいアピールをして車に戻った。
お母さんは気付いたのかやっと来た。
家までの短い道を揺られながら帰った。
俺は家に帰ると早速ベッドで寝かされた。
正直ゲームをしたかった。
俺は少しムスッとして、お母さんの言葉を無視する様に部屋に戻って寝た。
疲れてたからすぐ眠れると思ってた。
でもなかなか眠れない。
今学校では何してるのかな?とか、
みんなどう思ってるのかな?とか。
変に自意識過剰になってしまう。
本を読みたい、
ゲームの話をしたい、
みんなと遊びたい。
どれも風邪のせいだ。くそ。
どれくらい経っただろうか。
外から子供たちの声が聞こえる。
誰だ?と思いメガネをかけて外を見る。
小学生だ。
そうか、結構経ったんだな。
よく頑張った俺。
ふと、あの時の掃除の時間を思い出した。
確かかるらーは机を運び、俺は…
雑巾かほうきだった。
あんな仲良いのに。
確かに仲が良い。
何故君呼び?
あんなに仲が良いのに?
俺はあの時なんて答えた。
恥ずかしいから?
馴れ馴れしいから?
ほんとは嫌いだから?
そうだ、そうだよ。
蒼樹くんは俺を君呼びで呼ぶ。
決して仲が悪いわけじゃない。
溝があるから?
何処かしら穴があるから?
本当は嫌われてるから?嫌ってるから?
ああ、頭が痛い。
少し考え過ぎた。
寝よう。でも寝れない。
──コンコン
何分経ったのだろう。
きっとそれ程経ってないはずだけど。
妹の明日海がノックをして入ってきた。
ベッドで寝ていた俺に向かって渡してきたのは、
ビニール袋に入ったプリント類だ。
普段仲の悪い明日海が部屋に入ってきたってことは、
お母さんが今家にいない。
ゲームするチャンスか?でも、明日海が言いつけるかもしれない。
んー…
でも蒼樹くんが今日もゲームすると言っていた。
お母さん、仕事抜け出してきたからきっと帰ってくるのはいつもより遅いはず。
お父さんは単身赴任的な感じだから大丈夫だけど、
明日海がなぁ…。
明日海はそう言って自分の部屋に行った。
すると、時間を少し明けてからドアの開く音がした。
そそくさと出ていく足音が聞こえ、やがて消えた。
下に行ってみると玄関に明日海の靴は消えていた。
きっと友達の家だ。
…てことは、ゲームが出来る!
そこから何もかも忘れてゲームに没頭した。
その日、
蒼樹くんはゲームしなかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。