いらっしゃいませ〜〜メイド喫茶やってまーす!」
当日、ゴミ箱のコンテストで
実際にデザインが採用されたものの発表を終えたら、あとは委員会の仕事は後夜祭の後。
私はまりの作ったシフトの通り、
メイド服を着て、廊下で呼び込みをする。
やっぱり私には可愛すぎるその服は、
心をいつまでもそわそわさせる。
「あなた、待ちどれくらい?」
開始から2時間ほどですっかり満席になる程混んでいて、
私は呼び込みというより、
名前を書かせる整列係。
中から出てくる人はみんな笑顔で、
まりってやっぱりすごいなぁ
なんて、感心してる。
お昼休憩も随分押して、私がウエイターになるのも随分と押して、
でもその分長く廊下にいられたのだけど、
二宮先生が通りかかることはなく、
この姿で会うことはできなかった。
せっかく髪の毛も巻いて、可愛くしてもらって、
少しだけど簡単に落とせるようなメイクもして、
まりからもらった
色付きリップもちゃんとつけた。
ずっと喋っていたから、ほとんど取れてしまっていただろうけど、
髪も顔も朝が一番綺麗なのにな。
残念な気持ちを掻き消すように、
笑顔で接客する。
相葉「あなたちゃん!頑張ってるね〜〜」
「相葉先生!櫻井先生!」
バタバタしている間に
2人して来てくれていた。
櫻井「いや〜メイド喫茶って、一度行って見たかったんだよね〜〜まさか、ここであなたのメイド服姿が見れるなんて」
「やめてくださいよ!恥ずかしい〜〜」
なんて言いながらも、
似合ってるよ
と言ってくれる2人が来てくれたことは
とても嬉しい。
担任とはいえ文化祭では
基本的に関与してこないので、
櫻井先生もどんな風に完成しているのかは
今日初めて知ることになる。
櫻井「二宮先生も誘ったんだけどね、断られちゃってさ」
相葉「キャラじゃないとはいえ、絶対興味あるくせにね〜〜見回りがあるとか言っちゃって。」
櫻井先生には、きっとこの気持ちはバレていて、認めてはいないだけで、知られている。
相葉先生は気づいてるのかわからないけど、
何も知らなそうな屈託のない笑顔で、
来ればよかったのに〜と笑う。
来てくれればよかったのに、
と思いながらも、
来られたら恥ずかしくてきっと何も話せない。
二宮先生はきっと、
可愛い
なんて言って来れなくて、
からかわれるんだろうけど。
結局初日は、二宮先生の姿を見ることもなく、
終わってしまった。
明日は、見回りのタイミング、
私が廊下にいる時に来るかな………
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。