保健室の真ん中のテーブルで
化学の勉強をした。
いつもの2人の空間ではなくて、
端の事務机では
松本先生が仕事をしている。
誰かいると思うと、
どんな風に話していいのか不安になり、
今までどんな風に話していたのかさえも
わからなくなり
時間が経つのがとても遅い。
下校のチャイムの少し前に
キリがよくなって、
今日はここまでにしようか、
なんて雰囲気になった時、
と松本先生が
真ん中のテーブルに寄ってきた
二宮先生はとぼけたような返事を返すけど、
松本先生は笑いながら
と意地悪な笑み
少し大きな声になってしまって、
2人が黙り込む。
ふはっと二宮先生は笑って
と余裕を見せる。
あぁきっと、二宮先生には
こんなことどうってことないんだろうな…
私は子供だから、
こんなことでいちいち一喜一憂して、
ドキドキさせられて、
もう二宮先生に
心ブンブン揺さぶられて苦しいよ。
私の学生生活が
どんどん二宮先生の色に
染められていく。
その日、夏休み中に行う
夏期講習の申し込み締切日で、
私は勇気を出して
化学の夏期講習に申し込んだ。
こうしたら、夏休み中にも
二宮先生に会えるんじゃないか
って思ったから。
テストが終われば
すぐにやって来る夏休み。
二宮先生を好きだと気づいて、
この気持ちを隠し続けて、
初めての長期休暇がやってくる。
こんなに夏休みを待ちわびなかったのは
初めてかもしれない。
でもきっと
夏休みも会える。
そう思って申し込んだ夏期講習。
夏休みも
会えますよね……?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。