ルチカは、気の机に、紙とノートを
ひろげていた。
ハカセは、ルチカの前の椅子に
トスンと、座ると、なにやら文字を
書いてみせた。
ルチカが、目を輝かせながら言う。
ハカセが、正しい鉛筆の持ち方を
教える。
ルチカも、見よう見まねで、やってみるが
指がプルプルして、なかなか上手くでき
ない・・・
その時、コロンコロンと、鉛筆を
ルチカは、落としてしまった。
ハカセが、鉛筆を拾い、ルチカに
差し出す
ルチカが、ハアと、ため息を
ついた。
ハカセが、ルチカを元気づけるように、
ニコッと笑う。
ルチカは、鉛筆をそっと、握ると
字をゆっくり書いてみた。
おもわず、ハカセとハイタッチを
してしまったルチカ。
ハカセは、後ろにある本棚から
字の本を取って、ルチカに渡した。
ルチカは、お礼を言うと、嬉しそうに
自分の部屋に戻っていった。
その夜、ルチカは、寝る間をおしんで
字を書く練習をした。
いつか、ハカセと同じ人間に
近づくために・・・
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。