あなた『…高橋くん』
謙杜『…え?』
あなた『…高橋くんなら聞けるかも』
高橋恭平は道枝駿佑の親友。
彼なら、いけるかもしれない。
謙杜『…でも、今は恭平は…』
あなた『…』
私は携帯を取りだした。
そして道枝駿佑へ。
駿佑『急に連絡するとはね』
あなた『…高橋くんに会いたい』
駿佑『そんな暇ないと思うけど?』
あなた『…もう、会えなくなるかもしれないから』
わざとらしく、泣きそうな声で言った。
すると道枝駿佑は高橋恭平を映した。
駿佑『これで我慢しろ』
あなた『…わかった、2人っきりがいいの』
駿佑『なんかする気やろ』
あなた『なら、マイク付けてていいわよ』
駿佑『そう、わかった』
すると道枝駿佑はマイクを付け、いなくなった。
恭平『…あなた』
あなた『会いたかった…』
恭平『…宝物は見つかった?』
あなた『…うん、見つけた』
そう言って私は画面に映す。
すると高橋恭平は固まっていた。
恭平『…え』
あなた『見える?』
恭平『うん』
そして私は、画面に紙を映す。
ーーー
声を出さずに読んで
宝物は嶋﨑斗亜。
でも、道枝くんには見えない。
見えるようにするためには、彼の本音を聞かないといけない。
ーーー
恭平『…』
あなた『高橋くんが必要なの』
恭平『…』
高橋恭平は頷いた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!