あなた『何を取り引きするの?』
駿佑『そうやなー』
そう言って高橋恭平の頭に銃を向ける。
そのまま私を見てニヤッと笑った。
駿佑『…誰かの命と引き換えにどう?』
あなた『…誰かって…』
駿佑『例えば、恭平とか』
恭平『…』
私は怖くなって固まる。
動いたら撃たれるかも。
駿佑『どう?恭平とピストルどっちにする?』
あなた『…そんなの』
高橋恭平にきまってる。
そう言おうとすると、ドアが勢いよく開いた。
謙杜『俺の命と引き換えにして』
あなた『…長尾くん!』
駿佑『…謙杜』
長尾謙杜は迷いなく道枝駿佑の前に立つ。
そのまま銃を持っている腕を掴んで自分の方に向けた。
私は駆け寄って高橋恭平を抱きしめた。
謙杜『ほら、撃てよ』
駿佑『…』
謙杜『俺の命とピストル、交換な?』
駿佑『…お前、何言ってるか分かってるん?』
すると長尾謙杜は笑った。
謙杜『分かってるよ、だからこうしてる』
駿佑『…』
謙杜『俺は恭平とあなたちゃんのためならなんだってしてやるよ』
恭平『…謙杜』
謙杜『ほら撃てよ!』
すると道枝駿佑は銃を下ろした。
長尾謙杜を睨みながらピストルを私に投げる。
私は落とさないように受け取った。
駿佑『つまんな』
そう言って部屋を出ていった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!