第3話

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2020/09/28 08:16


さきに沈黙を破ったのは彼だった



「なあ」



「はい?」



「名前なんていうん?」



「初めてあった人に名前なんか教えませんよ」



「いいやーん?教えてくれても」



馬鹿なのか。




私なんかと関わってもいいことないのに




彼はそんな事知らないから聞いてくるんだろう





「ほら、名前」



「あなたです」




「あなたか〜」




「はい」




「俺はな廉っていうねん。よろしくな」




「よろしくお願いします。まぁ今日だけですけどね」




「は?俺はそんな事思ってないで?」




「え?」




「これからも仲良くしたいで?」




「いやいや今日だけですよ。てか今だけですけどね」




「は?なんで?」




「なんで?って」




「そんなに嫌なん?」




「嫌ですよ。初めてあった人にこれからも仲良くとか」




「じゃあ付き合う?」




ほんとに何言ってんだ




「私は初めてあった人と付き合うなんて考えてませんから」




「はぁー?」



「それに雨あがったんで。じゃあ」




「ちょちょ。待ってや」




「嫌です。ついてこないでください」




「一緒に向日葵見よや」




「ほんとにやめてください」




「ねぇって!」





「俺の話聞いてくれん」






「なんですか、手短にしてくださいよ」




「ん。わかった」




「俺と付き合ってください」




「ごめんなさい。」





「なんでよって。一目惚れしたんやって」





「一目惚れ?なんですかそれ」





「嘘って思ってると思うけどほんとなんやって」






「嫌です。もう帰ります」





私はそう言って向日葵畑を後にした

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