「なにしてるの?」
女の子……もとい花子ちゃんが、
鬼さん……もとい鬼灯の横をすり抜け 熊に近付く
やっぱアイツ匿ってたんだな
……にしても
手前側の熊 結構血みどろだけど見えてない……よね?
花子「わ〜 おっきなて!」
無邪気に熊に手を伸ばした
Σ(๑ °꒳° ๑)ビクッᵎᵎ
泣きそうな顔で花子ちゃんが鬼灯を見る
花子「ほ……ずき?」
花子「ほーずきなんてきらい!!
。・゜・(ノД`)・゜・。」
ダッと駆け出し 茂みの中に入り込んだ花子を追って茂みに踏み入ろうとする
花子「こないで!!」
が拒絶された鬼灯は仕方なく茂みの手前で花子の説得を試みる
それを俺は慌てて
栄は心配そうに
志信は苛立ちながら
見ている
余計な事をしないようにする為にだ
花子「やだやだ!! ほーずきなんてきらいなんだかや!!
。゚ヾ(゚`ω´゚ノシ゚。)ノシ」
嫌いという言葉に少し悲しげな表情を浮かべながらも
鬼灯は説得を止めない
熊はもう倒し終わったってのに
何がそんなに鬼灯を焦らせてるんだ……?
そう思った瞬間
花子ちゃんの横から、今までの熊より一回りはデカい熊が現れる
俺達は思ったより茂みから離れていて間に合わない
先程まで嫌い嫌いと喚いていた花子ちゃん
花子「え……」
だが縋るように彼女が見つめたのは鬼灯だった
花子を庇い ボス熊の渾身の一撃をもろに食らった鬼灯
熊は直ぐに志信のクナイによって仕留められ
栄は間髪入れず、鬼灯に弓を打った
ん?……鬼灯に弓を打った??
幸い泣きじゃくる花子ちゃんには見えてないみたいだけど……
よく見たら熊の時と同じく 血が出てない
↑熊にやられた傷から出血はしてるけど
花子「ほーずき! おきて…おきてよぉ……っ!」
花子ちゃんの悲痛な叫びにも鬼灯は荒い息しか返さない
喋る余力も無いってかなりヤバイよな……
花子「しぬ? ほーずきが?
…………やだぁ…っ! きらいっていってごめんなしゃい!
もういわな…からぁ……っ!
・゚・(。>д<。)・゚・」
花子ちゃんの変わり身の早さに呆れつつ 志信は手早く応急処置をした
花子「ヒック…グスッ……どうくつのなかにあるよ……
( ᵒ̴̶̷̥́ ^ ᵒ̴̶̷̣̥̀ )」
栄がチラりと志信や俺を見る
鬼灯を運ぶのを手伝って欲しいということだろう
体格的に俺の方がデカい為 そう言う
志信には俺や栄のサポート兼護衛を頼んだ
花子「ほーずき……だいじょぶ? げんきになる?」
心配そうに見つめる花子ちゃんに俺は返事が出来なかった
大丈夫だという確信が無いから
でも栄は死なせたりしないと自らに言い聞かせるように
そう穏やかに、それでいて力強く告げたのだった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。