第9話

第8Q
2,156
2021/01/08 07:55
あなたSide
嗚呼、此処は何処だ

出口は何処だ

暗い

暗い

暗い

何かに座ってる?

目の前に光景が広がる

映画の様に

楽しかったあの頃の映像だ

楽しくて

楽しくて

堪らなかったあの頃の

嗚呼

この映像がずっと続けば…

砂嵐に変わる

辞めてくれ

辞めてくれ
モブ
モブ
〝いるわけねぇだろお前とやれる奴なんて…イヤミかよ〟
青峰 大輝
青峰 大輝
〝…ははっ〟
青峰 大輝
青峰 大輝
〝テツ…あなた…お前等の言ったことは間違ってねぇと思う
けどやっぱダメだわ〟
(なまえ)
あなた
〝大輝?〟
辞めてくれ

キセキを

青峰大輝を壊さないでくれ
青峰 大輝
青峰 大輝
〝なんか気づいちまった〟
黒子 テツヤ
黒子 テツヤ
〝!?〟
青峰 大輝
青峰 大輝
〝オレの欲しいもんは…絶対見つかんねぇ
オレに勝てるのはオレだけだ〟
黒子 テツヤ
黒子 テツヤ
〝…え?〟
大輝の眼がとても冷たかったのをよく覚えてる
(なまえ)
あなた
〝なに…言って…〟
残されたテツヤの右手と走っていく大輝

私にも勝てないのに自分にしか勝てないと言い出した

辞めてくれ

辞めてくれ

もうこれ以上見たくない

嫌なんだ

あんな思いをするのは

また砂嵐に変わる

パッと画面が変わった

敦も真太郎も変わって行った

どんどん場面が変わる

嗚呼、征が変わってしまったあの場面だ
赤司 征十郎
赤司 征十郎
〝少し調子に乗り過ぎだぞ敦
あまり僕を怒らせるな
僕に逆らう奴は親でも殺すぞ〟
画面の向こう側なのに鳥肌が立つ

嗚呼……壊れてしまった…キセキか…赤司征十郎が

これ以上壊さないでくれ

楽しかったあの時のバスケを返してくれ

返せよ…
赤司 征十郎
赤司 征十郎
〝僕らはもう力を合わせるべきではないんだよ
光と影とも呼べるお前達二人でも光だけが強すぎたことで会わなくなっていった
あなた…お前もだ
お前は大輝よりも強い
分かるだろう?
それが光と光ならば結果は火を見るより明らかだ〟
黒子 テツヤ
黒子 テツヤ
〝そんな…〟
(なまえ)
あなた
〝勝つこと以上に大切な事はないの…?〟
赤司 征十郎
赤司 征十郎
〝ない
なぜなら帝光の理念は「勝つこと」だからだ
そのための最善の形が変わっただけで理念は何も変わっていない
ただ少し前までの形がたまたまお前達にとって居心地がよかっただけだ
居心地が悪くなった途端不満をもたらすようでは困るな
覚悟が足りなかったと言わざるを得ないしその程度の覚悟では何も変えられない 漠然とした理想など無力なだけだ〟
黒子 テツヤ
黒子 テツヤ
〝……その通り…なの…かもしれないですね…〟
(なまえ)
あなた
〝……〟
黒子 テツヤ
黒子 テツヤ
〝成長すれば人は変わっていく…〟
(なまえ)
あなた
〝…なのに私達は全中に優勝する前
あの頃にただ…必死で戻りたかったのかもしれない〟
赤司 征十郎
赤司 征十郎
〝…もし辞めたいのならば止はしない
あとはお前達しだいだ
続けたいのならば受け入れろ
この先も帝光の6人目、7人目であり続けたいのなら〟
私もテツヤもバスケを続けた

…あの日に戻るかもという期待もあったのかもしれない
(なまえ)
あなた
返してよ…
一人しかいない空間で私は…僕は…俺は…声を漏らした
(なまえ)
あなた
返せよ!!
返事は帰ってこない

分かってるこんな所で騒いでても何もならないことなんて
(なまえ)
あなた
返せよ!!
あの頃の楽しいバスケを!!
返せよ!!
皆の笑顔を!!
返せよ!!
仲が良かったあいつ等を!!
返せよ!!
私のバスケに対する楽しいって言う気持ちを!!
私は…私は!!
あの頃のバスケが楽しかったんだよ!!
一人でやってても何も楽しくない!!
苦しくて辛いバスケなんて!!
返せよ!!返せよ!!返してよ…
何でも…するからさぁ…ッ
なァ…
勝利って何なんだよ…
何のためのものなんだよ…
苦しくなるなら勝利なんて要らないのに…
辛いだけの勝利なんて要らないのに…
なァ…教えてくれよ!!
返事が来ないことなんて知ってる

それでも聞きたかった

あいつ等にとっての勝利を

あいつ等にとっての仲間を

ずっとずっと続くと思ってた何かを

希望を

なァ…私だけか?

先に進めてないのは…ずっとずっと待ってた物を捨てたのは…

私だけか?

抜け出せない絶望の中に居るのは

戻ったあいつらに…復讐を望むのは

プリ小説オーディオドラマ