あなたSide
嗚呼、此処は何処だ
出口は何処だ
暗い
暗い
暗い
何かに座ってる?
目の前に光景が広がる
映画の様に
楽しかったあの頃の映像だ
楽しくて
楽しくて
堪らなかったあの頃の
嗚呼
この映像がずっと続けば…
砂嵐に変わる
辞めてくれ
辞めてくれ
辞めてくれ
キセキを
青峰大輝を壊さないでくれ
大輝の眼がとても冷たかったのをよく覚えてる
残されたテツヤの右手と走っていく大輝
私にも勝てないのに自分にしか勝てないと言い出した
辞めてくれ
辞めてくれ
もうこれ以上見たくない
嫌なんだ
あんな思いをするのは
また砂嵐に変わる
パッと画面が変わった
敦も真太郎も変わって行った
どんどん場面が変わる
嗚呼、征が変わってしまったあの場面だ
画面の向こう側なのに鳥肌が立つ
嗚呼……壊れてしまった…キセキか…赤司征十郎が
これ以上壊さないでくれ
楽しかったあの時のバスケを返してくれ
返せよ…
私もテツヤもバスケを続けた
…あの日に戻るかもという期待もあったのかもしれない
一人しかいない空間で私は…僕は…俺は…声を漏らした
返事は帰ってこない
分かってるこんな所で騒いでても何もならないことなんて
返事が来ないことなんて知ってる
それでも聞きたかった
あいつ等にとっての勝利を
あいつ等にとっての仲間を
ずっとずっと続くと思ってた何かを
希望を
なァ…私だけか?
先に進めてないのは…ずっとずっと待ってた物を捨てたのは…
私だけか?
抜け出せない絶望の中に居るのは
戻ったあいつらに…復讐を望むのは
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。