五条Side
紫色の男に吹き飛ばされたあなたのチームメイトらしき人はベンチに戻った
代わりにあなたが出てくる
……あれ…何かおかしい
何か可笑しいのかは分からないけど
何かが可笑しいんだ
選手達の声だけが聞こえる
何でだ?
ゾクッ
そんな感覚が僕の中を掛け巡った
皆もそうだろう
顔が青い
其処からの追い上げはすごかった
青い子が出れば
ボールを取ってそのまま投げる
黄色が守りに入ると
ステップを踏んでコケさせる
身長が高い二人が壁のようになっても
先に飛んだあなたが二人より長く空中に居る
水色の髪の子がパスを曲げても
あなたがパスを取る
そう赤髪の子に言われても
ニィっ
と笑って返すだけ
しかもキセキの世代は少しずつ怪我をしている
審判には見えないんだろうけど霧崎第一とあなたが所謂ラフプレイをしているようだった
そうして時間がすぎると前半が終わる
観客は全員が外に出たようで僕達と選手しかいない
コートではあなたがベンチに戻ろうとしていた
あなたの後ろにはキセキがいた
あなたは下を向いて震えてた
泣いてるのかとも思った次の瞬間
あなた……?
あなたは眼帯を外して髪留めを外して
見た事のない見た目になった
此れは…あなたなのか?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!